来年8月に一般公開!灯台レンズが60年ぶりに里がえり【北海道積丹町 神威岬灯台】

2021/10/08

画像提供:燈光会

アイヌ語で“神”を意味する神威(カムイ)と名づけられた北海道・積丹半島の神威岬。岬の先端である海抜80mの断崖絶壁に建つ神威岬灯台は、1888年(明治21年)に初点灯され、130年以上にわたり海の安全を守り続けてきました。

その灯台でかつて使用していたレンズが約60年ぶりに帰還し、お披露目の時を待っています。

神威岬灯台は北海道庁が明治21年から6年間かけて20基の灯台を設置したうちの1基で、現存する北海道の灯台の中で5番目に古い灯台です。これまで1923年(大正12年)と1960年(昭和35年)の2回にわたり改修されました。

今回戻ってきたのは神威岬灯台の2代目のレンズで、1960年まで使用されていたもの。3代目の代替わりで公益社団法人「燈光会」の保有となり、「燈光会」から1961年に大阪のテーマパーク「みさき公園」へと貸し出されました。

そして園内の役目を終えてからはそのまま大阪の地で保管されていましたが、このテーマパークが2020年3月末に閉園されることになり、いったん燈光会へと返還。それまでレンズの誘致をしてきた積丹町に、今回、無償で貸し出されることになったのだそう。

それでは里がえりを果たしたレンズを改めて見てみましょう。

画像提供:燈光会

こちらが昭和中期まで神威岬灯台で燈を灯した「第一等レンズ」(解体前)。1876年(明治9年)にフランスから輸入されたもので、高さ2.5m。ノコギリのようなギザギザが特徴的なフレネル式の、回転しない不動レンズです。

この大きさのレンズとしては“国内唯一の現存物”ということで、とても貴重なものなのだそう。

輸送の際には解体され、神奈川・横浜の機械製作所で修理&補修作業を経た後、神威岬遊歩道手前にある観光施設「カムイ番屋」の二階に運びこまれました。

「現在、展示室の改修と展示物の制作を進めています。結局、4年がかりとなりましたが、2022年、神威岬灯台が初点灯をした8月25日の一般公開を目指して準備を進めています」(積丹町役場商工観光課・事務局)

神威岬灯台の歴史や灯台の役割を学べる資料、そして当時を伝える写真展示なども行われる予定とか。灯台史的にも価値が高い、機能美を兼ね備えた二代目レンズの来年の一般公開が楽しみですね。

取材:足立美由紀