プロジェクトの背景と課題
現在、日本には約3000基の灯台があります。それらの中には日本の近現代史において歴史的価値が高いとされる明治期の灯台など、海洋文化資産として地域と一体となって活用する可能性がある灯台が数多く存在しています。航路標識として、従来の船舶交通の安全を担うという重要な役割から広がりつつある灯台の存在意義について考え、灯台を中⼼に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、異分野と異業種、日本と世界をつなぎ、新たな海洋体験を創造していくためにも、「灯台」が直面する課題は以下の3つにあると考えています。
▼課題1
灯台の存在意義や継承理由を正しく伝えていない。
▼課題2
灯台が果たしてきた地域固有の役割や機能、存在価値を物語化できていない。
▼課題3
灯台がもつ多様な価値と利活用の可能性について、戦略的な取組がない。
プロジェクトの理念
「灯台」から見渡す海は、壮大なスケール感をもって広がっています。そして人と海は、時間的にも、そして空間的な意味においても、「灯台」を境としていつも関わりを持ち続けてきました。それゆえに我々は、自然的、社会的、歴史的な文脈から遮断して「灯台」を語ることは決してできないのです。そればかりでなく、逆に「灯台」を通じてこそ、日本の海洋文化史の奥深い世界を伝えることができるのではないでしょうか。そのように、「灯台」を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、日本と世界をつなぎ、これまでにはない異分野・異業種との連携も含めて、新しい海洋体験を創造していくプロジェクトを発足します。それが「海と灯台プロジェクト」です。
海と灯台プロジェクト 5つのゴール
- 灯台をシンボルとした美しい海の景観を地域の誇りに
- 郷土の海にまつわる歴史・文化を洗練された物語に
- 海洋環境の保全を組み込み、先駆的地域としてのロールモデルに
- 異分野・異業種と連携した”灯台コラボレーション”を地域間の絆に
- 特別感のある時間・空間デザインへの挑戦を世界に
5つのゴールを定め、地域における「海と人と灯台とのつながり」を創出。
地域特有の海の文化や歴史など、海と人と灯台とのかかわりについて誇りを持つ熱源人材を中心に、
海と人を結ぶ“海と灯台のコミュニティ”活性化を目指します。
プロジェクト体制
主催:日本財団「海と日本プロジェクト」
協力:海上保安庁
運営:「海と灯台プロジェクト」運営事務局(旧:全国灯台文化価値創造プロジェクト)
3つの分科会を設置
現在の「灯台」が抱える3つの課題に対応していくために、「海と灯台のまち連絡会」「海と灯台学研究グループ」「海と灯台アライアンスグループ」という、3つの分科会をプロジェクト内に設置。「灯台」を地元とする自治体をつなぎ、「灯台」にまつわる歴史や建築、航路標識としての技術などを掘り下げ、そして「灯台」の新たな利活用について様々な分野のプロフェッショナルの皆さんとともに、その可能性を探っていきます。
海と灯台フォーラム
灯台有識者および異業種・異分野で活躍される著名人・文化人の方々が一堂に介し、さらに全国の「海と灯台のまち」と連携しながら、灯台の歴史的・文化的価値を共有。今後の灯台利活用の可能性についての提言・提案を行います。