灯台に泊まろう!

2020/03/06

海外にはホテルとして宿泊できる灯台がある。灯台守が住んでいた官舎をホテルとして再利用しているのだ。通常のホテルとは一味違うロケーションで過ごすことができるので人気がある。

まずはスコットランドのCorsewall lighthouse hotel(コズウォール灯台ホテル)を紹介する。首都グラスゴーから2時間ちょっとの場所にある、1泊1部屋2万円ほどの3つ星ホテルだ。

この灯台はロバート・スティーブンソンによって設計され、1816年に建てられた。スティーブンソンといえば、「日本の灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの師匠にあたる人だ。そんな歴史的な灯台に泊まれるのだから、灯台ファンにとっては垂涎ものだ。

一般的なホテルのような広々としたロビーがあるわけではないが、アットホームな雰囲気。

入口で「おじゃましまーす」と、つい言ってしまう。

ラウンジにはさりげなく船の模型や船灯が置かれている。ここでは自由にくつろぐことができた。

私が泊まった部屋は狭めだったが、窓からは常に灯台を眺めることができたので大満足だ。値段は違ってくるが広い部屋もあるし、数家族で泊まれるコテージもある。

そしてこのホテルのウリはレストラン! 素晴らしい景色と共に美食をいただける。ちなみに宿泊客でなくても利用可能。

まさか灯台で、こんなお料理をいただけるとは…。

そして刻一刻と移ろう空の色とともに表情を変える灯台のそばにいられるのだ。これ以上の幸せがあるだろうか。

ただ、ひとつだけ問題がある。それは灯台が光っているのを見ていたくて、寝るのがもったいなくなっちゃうこと! 

一晩中でも眺めていたくなる素晴らしい灯台だった。

コズウォールホテルは現役の灯台だったが、すでに灯台の役割を退いた灯台がホテルになっている場合もある。

フランスのphare de fatouville (ファトビル灯台) だ。1850年に建てられた灯台で、セーヌ川を航行する船の目印という役割を担っていたが、1907年に川の形が変わったことで廃灯。

オークションにかけられたところを、現在のオーナーのおばあさんにあたる人が購入したそうだ。

パリからクルマで2時間ちょっと。こちらは朝食がついて2人で1泊1万円ほど。テレビや無線LANがないところがいい。都心から少し離れた港町の廃止された灯台。物語が始まりそうだ。

部屋は広く作られていて、ゆったりと過ごすことできた。

宿泊客には、朝食の後、解説付きで灯台に登らせてくれる。解説はフランス語だったが、運良く英語がしゃべれるお客さんと一緒だったので通訳してもらうことができた。

現役時代はハイパーラジアルレンズで光を放っていたらしい。ハイパーラジアルというのは、日本で使われている最も大きな第1等レンズより、さらに大きなレンズだ。

その頃の灯台に思いを馳せながら灯台からの景色も楽しんだ。

スコットランドとフランスの灯台ホテルを紹介したが、欧米には宿泊できる灯台が意外と多い。2泊以上の連泊が条件だったりするところもあるが、ぜひお好みの灯台ホテルをみつけて、のんびりと過ごす休日をぜひ味わっていただきたいと思う。朝、昼、夜と表情をかえる灯台を間近に見て、きっと新たに灯台の魅力を見つけてもらえるのではないだろうか。

日本の灯台がこのように活用される日も…いつか来るといいな。