灯台×お味噌汁のまったりグルメファンタジー漫画!「灯台守のみそしる専門店」

2020/01/25

灯台を舞台に、灯台守が営むお味噌汁専門店を描いた漫画「灯台守のみそしる専門店」。とてもおもしろい組み合わせで、灯台好きの心をくすぐる本作の原作者・山﨑と子さんに、着想のきっかけや本作のテーマ、灯台への想いや大好きなお味噌汁についてたっぷりと伺いました。

 

山﨑さんは、趣味で漫画を描いており、ご本人曰く「趣味に本気の趣味人」だそうです。2019年より「コミティア」というイベントで漫画同人誌「灯台守のみそしる専門店」シリーズの制作をスタート、現在も2月に開催予定の東京コミティアへの参加に向け、続編を絶賛制作中! 忙しい毎日を送っているのだとか。

海沿いの町、入り江のような舞台を描きたい、そんなアイデアからスタートした「灯台守のみそしる専門店」。新鮮な海産物が身近にあり、内陸とはちょっと違った独特の魅力を海沿いの街に感じていたという山﨑さん。お味噌汁は海産物との相性が良さそうと思いつき、題材に選んだそうです。

 

そして、灯台。はじめは、町のシンボルとして岬の突端にあるだけの存在と考えていたのですが、あるとき「米政府が使わなくなった灯台6基をオークションに出品した」というニュースを見て、「灯台も個人の所有物になり得るのか。じゃあ、いっそのこと灯台をお店にしてしまおう!」という着想に至り、灯台×お味噌汁という組み合わせが誕生したそうです。

「灯台守のみそしる専門店」を営む店長は人間で、一番弟子のるーくんは人魚。この組み合わせは、人それぞれの価値観の多様性を視覚的にわかりやすくという狙いで思いついたそう。現代の人間関係に悩みすぎてしまう人にこそ、「みんな人それぞれ」という裏テーマが伝わればという願いが込められています。

本作の灯台のビジュアルは、アニワ岬のロック灯台をベースにデザインしています。ポイントは土台部分を要塞のように高く持ち上げて、高波にも耐えられるように有事に備える、そんな実用性を盛り込んだ無骨な感じが、山﨑さんが「たまらなく好き」と感じる部分だそうです。

実際のサイズ感などは、福島県いわき市にある「塩屋埼灯台」を参考にしており、作中では、一回り大きいくらいのサイズで描かれています。塩屋埼灯台の内部に造られている、広めのらせん階段が印象的だったと振り返り、「ここにキッチンは入るかな?」「トイレは外にする?」など、延々と悩みながら灯台内部をウロウロしていたと、制作秘話を披露してくれました。

「全体像を描かなくちゃ!」と義務感を覚えてしまう建造物は、灯台の他にはないと断言する山﨑さん。そんな山﨑さんにとって思い出深い灯台は、一時期縁がありよく通っていたという北海道室蘭市の「チキウ岬灯台」だそうです。断崖絶壁に立つ展望台からの眺望は、まさに地球に立っているような感覚で、振り返ると室蘭市の工場群が一望できる贅沢感が魅力だと教えてくれました。

 

本作では、さまざまな具材のお味噌汁が登場しますが、山﨑さんは、作るより食べるほうが好きとのこと。手持ちの具材を入れて、ダシと味噌で簡単出来上がり! そんな手軽さと懐の深さがお味噌汁から感じる最大の魅力と感じているそうです。

大きさや内装を考えるのにはとても苦労したそうで、今でも悩みながら描いているという本シリーズはこれからも続いていくとのこと。海底2Fにある「みそしるBARあかり」の全貌やお店周辺の観光スポットも、続編で登場してくる予定とのこと、これは楽しみ!

灯台、港町、向こう岸の工場群、海岸の断崖絶壁、そしておにぎりとおみそしるからのぼる湯気まで、山﨑さんが好きなもの、好きな風景を思うままに詰め込んだ作品だという「灯台守のみそしる専門店」。まったりしたいときにちょうどいいグルメファンタジー漫画を片手に、あたたかいお味噌汁と一緒に、いかがですか?

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書籍名:「灯台守のみそしる専門店」「灯台守のみそしる専門店ミニなつのおみそしる」

原作者:山﨑と子(Twitter

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(取材・文/タナカシノブ 構成/サンクレイオ翼)