かつての灯台守の子孫が伝え残す昭和30年代の灯台の姿がポストカードに 【石川県珠洲市 禄剛埼灯台】

2023/03/28

能登半島の最北端、石川県珠洲市で日本海を臨む禄剛埼灯台は、ちょうど外浦(半島の西岸)と内浦(同じく東岸)の接点にあたり、海から昇る朝日と海に沈む夕日が同じ場所で見られることや、鮮やかな白亜の外観とのコントラストがロマンチックな景観を成すことから、観光スポットとしても人気がある。

2022年(令和4)年には11月1日からの「海と灯台ウィーク」に合わせて、その美しい景色を収めたポストカードセットが数量限定(300セット)で発売された。禄剛埼灯台から数百メートルの場所にある「道の駅狼煙」では、11月5日より特設コーナーを設けてこれを販売。道の駅狼煙の小寺美和さんは「能登半島の最北端にあることがわかるとてもいい写真です。昭和30年頃の貴重なモノクロ写真もあり、私も初めて見ました」と語る。

   

明治時代に建てられ灯台守が暮らした官舎や倉庫も写るこの写真を所蔵するのは、道の駅狼煙の隣にある「能登さいはて資料館」。当時の灯台守が使っていた制帽や、辞令書など、様々な資料が展示されている。資料館を運営しているのは、明治時代に禄剛埼灯台で灯台守を務めた小坂長之助氏のひ孫に当たる河崎倫代さんだ。

河崎さんは「官舎では灯台守の家族が何組か生活していました。撮影したのは私の父(小坂正彦氏)で、3年前に亡くなったんですが、遺品の中に写真のネガがあり、それを復元しました」と由来を明かす。ポストカードになったことについては「びっくりしましたが、父もきっと喜んでくれると思います」と感慨深げだった。

また、「禄剛埼灯台はいずれ重要文化財になると思いますが、そうした際にもこういった史料を使っていけるのではないか」という希望も付け加えた。禄剛埼灯台は、すでに1998(平成10)年には「日本の灯台50選」に、2009(平成21)年には「近代化産業遺産」にも認定されており、その日は遠くないのかもしれない。

 

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