100年先の未来を希望の光で照らす「銚子灯台コーラ」【千葉県銚子市 犬吠埼灯台】

2023/06/15

関東平野最東端に位置し、日本一早い初日の出が見られる場所としても有名な銚子市の犬吠埼。
白波が荒々しく砕け散る岩礁と、岬の上に気高くそびえる白亜の灯台が織りなす壮大な海の絶景は、銚子のシンボルとして親しまれています。


そんな犬吠埼で近年人気を集めている商品があります。大地をイメージした茶色いシロップに空と海をイメージした青い炭酸水を注ぎ、犬吠埼の景観をグラスの中に表現した「銚子灯台コーラ」。混ぜ合わせると、犬吠埼の朝焼けを思わせるオレンジ色に変わります。


子どもたちにも安心して飲んでもらえるよう、シロップに使う10種類のハーブとスパイス、炭酸水の色付けに使うバタフライピーなど、原料はすべてオーガニック。甘み付けには、血糖値が急激に上がりにくいとされるてんさい糖を使います。さらに、醤油の町・銚子ならではの素材として、醤油の原型とされる発酵調味料「ひしお」を隠し味として使い、味を引き締めました。 

開発を手掛けたのは、銚子を一度離れてUターンし、「元気な街をもう一度取り戻したい」との共通した思いを抱く2人がそれぞれ社長を務める地元企業。犬吠埼灯台のすぐそばでクラフトビールを醸造する「チョウシ・チアーズ」と、ハーブ園を運営する「浜鈴総芸」の2社です。

チョウシ・チアーズには飲料を製造するノウハウがあり、浜鈴総芸にはコーラに欠かせないハーブがあることから、「互いにできることを持ち寄り、地域に今までなかったものを新たに生み出すモデルケースをつくろう」とタッグを組んだ両社。当初はまず地元でファンを増やそうと2020年6月、犬吠埼エリアの3カ所限定で銚子灯台コーラを発売しました。


すると、地元を愛する経営者が開発したというストーリー性や映える見た目が注目され、すぐさま多数のメディアに紹介されることに。地域でも大きな反響を巻き起こし、人気商品として定着していきます。東京都内の催事に招かれて出店した際には、銚子出身の来場者が「銚子で今、こんな素敵な商品が作られているんですね」と興味を示してくれたことも。浜鈴総芸の鈴木浩之社長は「このコーラを目にしたことがきっかけで、銚子出身者の方が『たまに銚子に帰ってみようかな。久しぶりに犬吠埼にも行ってみよう』と思ってくれたら、作ったかいがありますね」と話します。

「銚子灯台コーラ」の商品名には、「銚子の100年後に希望のヒカリを届けたい」との意味を込めました。5年や10年で大きな変化は表れないかもしれないが、これをきっかけにさまざまなムーブメントが起こり、100年後の銚子が元気な街であってほしい、との思いを灯台に託しました。


3年目を迎えた2022年9月からは、ボトル販売を開始。茶色と青色の2色をどう表現するかという難しい課題を、茶色いシロップのボトルと青い炭酸水の2本に分けて販売することで解決し、自宅で美しい2層のコーラが楽しめるようにしました。シロップのボトルは、細長い形状とラベルで犬吠埼灯台を表現。土産品としても人気を集めています。

「銚子市民にとって犬吠埼灯台は当たり前すぎる『風景』ですが、知れば知るほどすごい存在だと感じます。漁師さんの命を守る存在であることはもちろん、全国に数ある灯台の中でも特にフォルムが美しく、景色の中で見栄えのする灯台です」と鈴木さん。「とはいえ、灯台のことだけを発信しても、それほど興味を持たない人もいるのではないでしょうか。銚子灯台コーラをきっかけに、犬吠埼灯台ってどんな灯台なんだろう、どこが優れているんだろうと興味を持つ人が少しでも増えたらうれしいですね」
 

写真提供(一部):銚子灯台コーラユニット

文:佐々木康弘