下北半島にたたずむ1876年建造のレンガ造り灯台が重要文化財に【青森県東通村 尻屋埼灯台】

2023/07/27

青森県東通村、下北半島の最北東端に位置する「尻屋埼(しりやさき)灯台」が国の重要文化財に指定されたことを受け、2023年7月17日に同灯台でセレモニーが開催されました。


尻屋埼灯台は、太平洋側に建設された初期のレンガ造り灯台のひとつ。明治政府のお雇い外国人として数多くの灯台を設計したイギリス人技師ブラントンの手により、1876(明治9)年に完成しました。内壁と外壁がそれぞれ独立している「二重円筒形式」で、高さ32.8mと現役のレンガ造り灯台として日本一の高さを誇ります。

この海域は濃霧が発生しやすく、灯台の光が届かない場合があることから、船舶に対して音で方向などを知らせる鐘や霧笛が日本で初めて導入されたことでも知られます(現在は廃止)。このような歴史的背景と建築技術の優秀さなどが評価され、2022年12月に国の重要文化財の指定を受けました。


セレモニー当日は、灯台を管理する八戸海上保安部に重要文化財の指定書が手渡され、記念のテープカットとバルーンリリースで文化財指定の栄誉を祝いました。バルーンリリースには、上空に達した後に破裂して落下し、生分解して自然に戻るという100%天然ゴムの環境に優しい風船を使用。尻屋埼灯台と美しい海の景観がいつまでも続くようにと祈りを込めました。

参加者には、記念品として「尻屋埼灯台サイダー」を配布。同灯台のガラスの色を再現したご当地サイダーで、今後商品化を予定しているとのことです。

写真提供:東通村
文:佐々木康弘