「ハートのベンチ」新設 冬の水仙まつりもおすすめ【静岡県下田市 爪木埼灯台】

2018/12/25

幕末の「黒船来航」の舞台の一つとして日本史に刻まれた静岡県・下田港。 現在は伊豆諸島への航路が発着する観光港であるとともに、高級魚・金目鯛の水揚げ日本一を誇る豊かな漁港でもあります。 そんな下田の港に出入りする船舶を日々見守るのが、下田湾を形成する須崎半島の南東部に突き出た「爪木崎(つめきざき)」に建つ爪木埼灯台。2017年認定の「恋する灯台」です。 灯台のたたずまいは、高さといい形状といい、多くの人々がイメージする「灯台」そのもの。有名ロックバンドのMr.Childrenが2004年にリリースしたシングル「Sign」のジャケット写真に登場したことから、ミスチルファンの人気スポットにもなっているようです。 灯台付近から海を眺めれば、好天の日には、同じく下田へ発着する船を見守る灯台が設けられた神子元島や、その遥か向こうに浮かぶ伊豆七島を一望。旅情をそそる風景です。 ところで伊豆の海は、かつて海底火山が活発だった海域。その頃の名残は今も海岸の随所に見られ、遥かな地球の歴史を垣間見える「ジオサイト」の一つに数えられています。たとえば、爪木埼灯台西側の「俵磯」と呼ばれる海岸では、見事な柱状節理が広がっています。 また、下田市街を挟んで南西方面にある田牛地区の海岸には、波の浸食によってできたスケールの大きな海蝕洞「龍宮窟」が。上から見るとハートの形に見えるため、恋人たちのパワースポットとして人気を集めています。 爪木崎はまた野水仙の群生地としても知られており、12月中旬から1月末にかけては300万本におよぶ水仙が遊歩道周辺や丘に咲き乱れ、圧巻です。 ちなみにその近くにある公営植物園「爪木崎花園」では、菜の花やチューリップ、サルビアといった美しい花や亜熱帯植物などを、四季折々に楽しむことができます。 そんな爪木埼灯台とその周辺の景観を、ちょっと面白い趣向で楽しめる仕掛けを、市の観光協会が新たに設置しました。それが、背もたれをハートの形にデザインした二人がけのベンチ。 ベンチが設置されたのは、(1)爪木崎海岸を一望できる駐車場脇、(2)水仙の群生地の中心部、(3)灯台へ至る遊歩道上の、灯台と太平洋を一望できる休憩用のあずまや付近 の3カ所。(1)と(3)のベンチは、ハート形の中に灯台が見える、なかなかSNS映えするポジション。(2)のベンチは二人で腰掛けて、咲き誇る水仙をバックに記念写真を撮るのがおすすめです。 (1) (2) (3) さらにその後、(3)のベンチのすぐ近くに、地元の下田市須崎地区の人々の手で、もう一つハート形のモニュメントが設置されました。こちらは高さ2mほどもある金属製のオブジェで、たとえばハートの中に二人で立ち、灯台を真ん中に記念写真を…なんてことができる趣向です。(12月26日追記) そして、この時期のおすすめとして、毎年12月20日から1月31日に開催される「伊豆下田水仙まつり」をご紹介しましょう。 その名の通り、爪木崎に群生する野水仙の最盛期に合わせて開かれるイベントで、会場である群生地付近では下田の海産物や野菜、水仙の球根などを販売する「青空市」が毎日開かれます。 1月6日、13日、20日の各日曜には、下田八幡神社の夏の風物詩「下田太鼓」の実演。 同時に、名物である地元の海産物を贅沢に煮込んだ「池之段煮味噌鍋」(先着200名)が振る舞われます。 あわせて、俵磯の柱状節理などが間近に見られる1時間ほどの散策プログラム「爪木崎ジオガイド」も楽しんではいかがでしょう(参加費1,000円/2日前までに下記観光協会へ申込必要)。 ロマンチックな灯台を中心に、面白いスポットや企画が盛りだくさんの爪木崎は、まさに今が楽しみどきです。ぜひ訪れてみてください。