「恋する灯台」を応援する‟幸せの鐘”と‟駅前の灯台”【山形県和鶴岡市 鼠ヶ関灯台】

2019/11/15

新潟県との県境に面した山形県・鶴岡市鼠ヶ関(ねずがせき)。地名の由来となった関所・鼠ヶ関は、勿来(なこそ)の関(福島県いわき市)、白河の関(福島県白河市)、念珠の関(=鼠の関)の「奥州三関」に数えられていた東北への玄関口で、俳聖・松尾芭蕉が越えた関として「おくのほそ道」にも登場しています。

2016年に「恋する灯台」に認定された「鼠ヶ関灯台」が建つ弁天島も、源義経が兄・頼朝の追討を逃れ、平泉へと渡る途中で上陸したという“義経伝説“が伝わる歴史ロマンのある島。“美しい夕陽が鑑賞できる景勝地”としても知られ、カップルはもちろん歴史ファンや観光客などが訪れる人気のスポットとなっています。

1925年(大正14年)に初点灯した鼠ヶ関灯台は、日本海を航行する船舶の安全を見守り続けてきました。江戸時代には北前船の寄港地だったという鼠ヶ関港は今でも山形県有数の漁港として知られ、弁天島には「厳島神社」「金毘羅神社」と、海の安全を祈願する2つの神社が。

狛犬が鎮座する「厳島神社」を抜け、遊歩道の終点にある赤い鳥居を進むと、灯台に寄り添うように社を構えるのが「金毘羅神社」です。

 

今年の5月には漁業を営む地元住民の寄付により、「金毘羅神社」の祠の上に“幸せの鐘”のモニュメントが設置されました。

長年にわたり海の仕事に従事してきたことへの感謝として寄贈されたというこの鐘には、「恋する灯台」を応援したいとの気持ちも込められているのだとか。

 

この鐘と共に立つ白亜の灯台もどこか誇らしげですよね。抜けるような青空の下、大海原に響きわたる“幸せの鐘”の音色は、恋人たちの想いを深め、また人々の心に清々しい風を呼び込んでくれることでしょう。

 

そして鼠ヶ関灯台のモニュメントといえばもう1つ。JR東日本・羽越本線「鼠ヶ関駅」の駅前に建つ“灯台モニュメント”のことはご存知でしょうか。その姿を見て、カップルで訪れた女性はきっと「かわいい」と声を上げるのでは…!?

昭和22年、鼠ヶ関港は荒天時に船が避難する山形県唯一の避難港に。その際に港湾整備として、東西の防波堤を築造&湾の浚渫(しゅんせつ工事を敢行。浚渫で生じた土砂を使って離れ小島だった弁天島は陸続きとなり、観光客のための遊歩道が整備されました。

その後、駅前に2分の1スケールの灯台モニュメントも建設され、この地を訪れる人々のための「歓迎塔」としたのだそう。

こうして海の道しるべである鼠ヶ関灯台は観光地の象徴となり、今では恋人たちの聖地に。鼠ヶ関を訪れた際は、恋する灯台&幸せの鐘だけでなく駅前灯台もぜひチェックしてみてくださいね。