100歳のお祝いをみんなの力で!灯台100年記念のクラウドファンディング【愛知県美浜町 野間埼灯台】

2021/06/02

愛知県の知多半島。その西側に位置し、地元では「野間灯台」と呼び慕われているのが「野間埼灯台」です。
野間埼灯台の初点灯は1921(大正10)年。2021年にはちょうど100周年を迎えた、歴史ある灯台です。2008(平成20)年には灯台機器の改修工事があり、それまで使用されていた第5フレネル式レンズがLED灯器へと交換され、今も伊勢湾を照らしています。

野間埼灯台が100周年を迎えるにあたり、美浜町のまちづくりグループ「一般社団法人 美浜まちラボ」がクラウドファンディングを実施しました。
美浜まちラボでは、野間埼灯台を一般の人も自由に見学できる「参観灯台」にするため「野間灯台登れる化プロジェクト」を展開し、まちのシンボルである灯台の価値を高める運動に取り組んでいます。

「野間埼灯台の100歳の誕生日を一緒に祝おう!」と、初点灯と同じ3月に100年記念式典の開催をめざして企画されたクラウドファンディング。リターン品には野間埼灯台のイラストをあしらったオリジナルグッズもズラリ!

中でも注目を集めたのが、野間埼灯台の100年間をふり返る「野間灯台100年誌」。
美浜まちラボのメンバーで、小学校教諭でもある林さんが独自に野間埼灯台の歴史を調べ、地元の人からの聞き取りや現在に残っている史料をまとめた100年誌は、80ページにもおよぶボリュームに。

これまで地域の人にも広く知られておらず、散逸していた野間埼灯台の歴史をまとめた貴重な史料として、地域の学校や図書館にも置かれるほどの完成度に、灯台ファンからも熱い視線を浴びました。

林さんは「これを見た子どもたちが、野間灯台の150年のときには自分たちが式典や記念誌をつくろうと考えるようになってくれたら」との希望も語ってくれました。
2020年10月にスタートしたクラウドファンディングは、12月に目標額を上回る143万8000円を集めて終了。

リターン品を手にしたサポーターからは、SNSなどで「こんなにもらっていのかと思うくらいのグッズたち!」「頑張れ野間埼灯台!」「100年誌も盛りだくさんの内容で、これから読むのが楽しみ」「コロナ禍がおさまったら、灯台を見に出かけたい!」と満足の声も多く見られたそうです。

今回集まった資金は、2021年3月に行われた記念式典や100年誌刊行のほか、野間埼灯台の文化財としての価値を高める「登録有形文化財」への申請費用、灯台の様子をライブ配信できるウェブカメラの設置などに活用されています。

文化財への登録申請は済み、国の調査と正式な登録を待つ段階で、ライブカメラの設置も順調に進行中とのこと。美浜町のシンボルである野間埼灯台がさらに魅力的な灯台へと進化していくことが期待されます。

 

取材:藤堂真衣