清掃活動とクルーズで海への関心を高める!「クイーンズしろやま」神瀬灯台清掃活動【鹿児島県鹿児島市 神瀬灯台】

2021/10/07

鹿児島県の桜島と鹿児島港の間に位置し、錦江湾を往来する船の安全を見守る神瀬灯台。錦江湾の無人島に浮かぶ神瀬灯台は、干潮時のタイミングを見計らい小型の船に乗って上陸するしか方法がないため、めったに上陸することができません。この滅多に上陸できない神瀬灯台で、9月21日に錦江湾遊覧観光協会主催の「クイーンズしろやま」神瀬灯台清掃活動が行われました。

海と日本PROJECT in 鹿児島事務局 MBC南日本放送の瀬筒さんによると、『錦江湾遊覧観光協会「クイーンズしろやま」神瀬灯台清掃活動』の企画は、深刻化する海洋ごみ削減に向けた取り組みの一環としてCHANGE FOR THE BLUE 鹿児島実行委員会が海と日本プロジェクトの推進パートナーと清掃活動イベントをなにか一緒にできないと考えていたタイミングで、清掃船での清掃活動やクルーズ事業を行う錦江湾遊覧観光協会の方からのお声がけがきっかけでスタートしたそうです。

無人島である「神瀬灯台」は陸地と繋がっておらず、360度海に囲まれており、上陸するには船を使って上陸するしかないため、めったに上陸ができません。そのため、ごみが流れ着いても島から運び出すことが難しく、錦江湾を守る取り組みを行う錦江湾遊覧観光協会に協力いただき、年に1回の定期開催に至ったそうです。

今回の神瀬灯台清掃活動は、錦江遊覧観光協会の会員である城山ストアーが運営する観光遊覧船「クイーンスしろやま」に乗り、無人島「神瀬灯台」に上陸し、清掃活動を行うイベント。神瀬灯台砂浜のごみ拾いのほか、帰り道では船上で海のごちそう弁当を食べながら錦江湾寄り道クルーズを楽しむことで、海への好奇心を高めてもらうことも目的としていたそうです。

参加者は、錦江湾遊覧観光協会所属のメンバーおよそ20名と一般参加者20名の計40名前後で、20代から80代まで幅広い年齢層の方たち。夏を思わせる日差しが照り付ける中、およそ1時間のごみ拾い活動を実施しました。参加者たちは、ペットボトルやプラスチックなどのごみを拾いながら、島に漂流したサンゴやヒトデ、貝殻などの海の生き物との自然のふれあいや、島での時間を楽しんでいる様子でした。

「参加者のほとんどは、神瀬灯台への上陸が初めてという方たちで、ごみ拾いに協力したいということと、めったに上陸できない無人島に上陸できるというところに本イベントの魅力を感じているようでした」と教えてくれた瀬筒さん。めったに行くことができない島の状況が気になって応募をしたという参加者からは「1時間のごみ拾いで30Lごみ袋30袋分が集まりました。こんな状況だとは知らず、イベントで海洋ごみを魚が食べて、その魚を私たちが食べるというサイクルの話を聞き、とても危機を感じました」という感想もあったそうです。瀬筒さんは「本イベントを通して、海の楽しさ美しさを知るとともに、ふるさとの海を守ることの大切さを再認識している様子が伝わってきました」と振り返っていました。

神瀬灯台の魅力について瀬筒さんは「灯台周辺にはサンゴ礁や藻場があり魚も豊富で、晴れた日には、海水の透明感が際立ちます、陸地とは繋がっていないため360度を海に囲まれた瀬では、干潮時など穏やかに澄んだ潮溜まりを見ることができます。観光遊覧船「クイーンスしろやま」のクルーズでは海上から錦江湾の海の魅力を味わうことができ、上陸すると雄大な桜島を望むことができます」と教えてくれました。

6月開催予定だった本イベント。「荒天により、開催が中止となりました。神瀬灯台は海の上に位置するため、上陸するときの天候とタイミングがとても重要です。晴れていても、干潮の状況によっては、陸の面積がかなり少なくなり上陸のタイミングが少し難しい場所です。台風の上陸が多い鹿児島県では、開催のタイミングに毎年悩まされています」とイベント開催の苦労を明かしていました。

現在の開催回数は年1回。瀬筒さんによると「毎年問い合わせが増えている人気イベントで、開催回数を年2回、春・秋の海ごみゼロウィークのタイミングに増やそうかと考えています」とのこと。さらに「清掃活動のみでかなりの体力を使うため、アクティビィ要素を増やすのは難しいと思われますが、マリンスポーツを絡めたアクティビティ要素(カヤックやカヌーを使って来島するなど)を増やしたり、春、秋、その季節ならではのツアーにパワーアップさせるなど現在検討中です」と今後の構想を教えてくれました。

CHANGE FOR THE BLUE 鹿児島実行委員会は、「チェスト!FOR THE BLUE かごしま」(※「チェスト」は気合をいれるという意味をこめた幕末からの鹿児島の方言です。)を掲げ、県民全体で取り組むようにムーブメントを広げ、問題解決に向けて取り組んでいます。さらに子ども向けには「チェスト!FOR THE BLUE かごしま 海ごみ探検隊」を結成し、海岸への漂着物で作るアートや楽器のアクティビティなども行っていくとのこと。「みんなで鹿児島の海を守ろう!」という気合の伝わるイベント開催が今後も期待できそうです。

画像提供:海と日本PROJECT in 鹿児島事務局

取材:タナカシノブ