「灯台も道も整備して、再び観光地としての利用を」震災後の灯台のあり方、未来への願い【宮城県石巻市 金華山灯台】

2022/03/06

2021年11月1日~8日に実施された「海と灯台ウィーク」。灯台と私たちの結びつきを再認識するきっかけともなるこの期間に、全国各地の灯台に縁ある方々の話を伺う「灯台応援動画」が制作されました。今回は、宮城県の金華山灯台(石巻市)での勤務経験を持つ海上保安庁宮城海上保安部OBの後藤吉彌さんにお話を伺いしました。

―灯台について、後藤さんが詳しいと思う分野を教えてください。

後藤「金華山灯台で、私は航行船舶指標、無線方位信号所・GPS局等の保守などを行っていました。私が入った頃には気象観測も業務に含まれていたので、雲の高さを測って、そのデータを仙台管区気象台に送っていました。金華山灯台は”日本の灯台の父”と呼ばれる英国の土木技術者、リチャード・ブラントンによる設計で、”日本の灯台50選”にも選定され、国の登録有形文化財にも指定されています。北米航路を航行する船が日本へ帰って来る時には、この灯台を最初に目にすることになり、『日本に着いた』という実感や安心感を与える灯台でした。

―金華山灯台にまつわるエピソードを教えてください。

後藤「金華山には灯台と金華山黄金山神社の神職以外は住んでいませんでした。灯台も現在は無人化されています。野生の猿や”神の使い”とされる鹿がよく灯台の周辺にも遊びに来ていました」


―将来、灯台を地元で活用するためにはどうしたら良いでしょう?

後藤「灯台は、船の指針を照らす希望の存在です。航路標識としての重要性を認識してもらうことによって、灯台の歴史がこれからもずっと続いていくのかなと思っています。かつては土曜、日曜ともなると多くの観光客が金華山灯台を訪れ、ホテルの予約が取れないほどの賑わいだったこともありました。しかし現在は残念ながら東日本大震災の影響がいまだに残っており、金華山灯台に車輛が通れる道も整備されていない状態です。東北地方では尻屋埼灯台(青森県東通村)や入道埼灯台(秋田県男鹿市)、塩屋埼灯台(福島県いわき市)が”のぼれる灯台(参観灯台)”として公開されているので、金華山灯台も整備を進めて、いずれは観光地として利用してほしいと思っています」

そんな思いを綴る後藤さんと、金華山灯台を紹介する応援動画もあわせてぜひチェックしてみてください。