初点灯から150年、地域一体となって活用に取り組む「参観灯台」【三重県志摩市 安乗埼灯台】

2023/05/16

初点灯から150周年を迎えた三重県志摩市の安乗埼(あのりさき)灯台2023年4月1日鳥羽海上保安部による記念セレモニーが開催されました。 


安乗埼灯台は1873(明治6)41初点灯した全国20番目の洋式灯台です建造当時は土台が八角形の木造でしたが、1948(昭和23)鉄筋コンクリートで建て替えられ全国的にも珍しい四角柱の塔形に生まれ変わりました。高さ15m約31km先まで届く光が伊勢湾に向かう船を導いています 


セレモニーには当時あった官舎のレンガを焼いた職人の子孫地元の関係者などが招待され、灯台に酒をささげる「献酒献杯安全を祈願しました。 

今回150周年を迎えた安乗埼灯台は、一般客が登れる「参観灯台」のひとつ。同じく参観灯台である大王崎灯台と共に志摩の観光スポットとして知られており、海の絶景を眺めに多くのレジャー客が訪れます。市や民間団体も灯台の活用に積極的に取り組んでおり、2019年には官民で構成する志摩市灯台活用推進協議会が誕生。 


安乗埼灯台から見る海の絶景

2022年2月からは同協議会が海上保安庁の「航路標識協力団体」に指定され、安乗埼灯台と大王崎灯台について、灯台周辺の美化活動や灯台に関する資料の収集と情報発信灯台敷地内でのワークショップなど灯台を活用したさまざまな取り組みを推進しています記念セレモニー当日は日没後の灯台ライトアップを実施し、150年にわたって地域の暮らしを守り続けてきた灯台の歴史をしのびました 

志摩市観光課の職員として同協議会に参画する原条泰輝さんは「豊富な海産物や伊勢神宮など、伊勢志摩の強力な観光コンテンツと灯台を組み合わせ、これまで以上に観光誘客に取り組みたい。既に協議会としての取り組みを発展させる形で、地域の方々が自走化させている取り組みも生まれている。今後も灯台を活用したさまざまな取り組みを創出していきたい」と今後の目標を語ってくださいました。 


安乗埼灯台と海のパノラマを眺めながら地元のスイーツが楽しめる「灯台カフェ」


写真提供:志摩市 
 

文:佐々木康弘