「灯台の魅力発信にご当地カードの活用を」~2023年「海と灯台のまち会議」灯台の利活用に関するアイディア発表

2023/08/01

一般社団法人 海洋文化創造フォーラムは2023年6月7日(水)、時事通信ホール(東京都)にて、灯台を観光振興や教育、地域活性化に利活用したい自治体・企業・団体とともに「海と灯台のまち会議」を開催いたしました。

この会議では、「海と灯台プロジェクト」の一環として、異業種・異分野の関係者から灯台の利活用に関するアイディア発表がありました。この記事では、株式会社ストーリーノートの山田秀人さんによる「灯台のご当地カード化」に関する発表要旨を掲載します。

※会議全体についてのイベントレポート(抄録)は、こちらの記事をご覧ください。

 

ストーリーノートの山田と申します。よろしくお願いします。今日は、ご当地カードと灯台をコラボレーションさせたら、どんなことができるだろう。そんなことをお話ししてみたいと思います。ご当地カードとは、ダムやマンホールなど、その場所に行った記念にもらえるカードのことです。このうち、対象を観光スポットにしたものを、特に「LOGet! CARD(ロゲットカード)」と呼んでいます。

私は、おもちゃ屋さんからマンホールの広報マンになったというちょっと変わった経歴を持っています。マンホールは非常に魅力的です。北海道から沖縄まで全国で直径60センチに規格が統一され、その中にその土地ゆかりのデザインが描かれています。私は、国内外にこの魅力を広げるため、ご当地カードのマンホールカードを作り、それを広めてきました。このような経験を生かし、現在は観光スポットを対象としたロゲットカードを作っています。

ここからは、マンホールカードとロゲットカードについてそれぞれ詳しくお話しします。まず、マンホールカード。先ほどお話ししたように、現地を訪ねたらその証としてもらうことができます。たとえば岡山を訪ねると、新幹線ホーム地下の観光案内所でマンホールカードをもらうことができます。カード左下に位置座標が書いてあり、それをたどるとマンホールの実物に出会うことができます。そこで写真を撮り、SNSなどにアップして記録していく。こんな形で楽しまれています。マンホールカードを作ったことにより、従来は「くさい、汚い」だった下水道のイメージが「かわいい、きれい」に少し変わっています。それだけでなく、観光にも寄与しています。


現在、日本の自治体の約3分の2がマンホールカードを導入しており、累計発行枚数は1200万枚に上ります。昨年11月に所沢市で開いたイベント「マンホールサミット」には、1日で1万5000人近くが来場しました。

次に作ったのが、観光スポットをテーマにした「ロゲットカード」です。たとえば東京タワーに行き、展望台に上るとカードがもらえます。カードをもらった人の多くは、旅の証として写真を撮ってSNSに載せています。最近では、そこでしか食べられないものと一緒にカードの写真を撮り、アップする人も増えています。経済活性化にも観光活性化にもつながるものとして、徐々に種類が増えています。


このロゲットカードを灯台と掛け合わせたらどうなるかを妄想してみました。実際にロゲットカードの中にある越前岬のカードを例にとります。ロゲットカードはコレクションカードなので、集めて楽しい要素が組み込まれています。


まず特徴的なのは、観光地のジャンルを示した左下のマーク。仮に灯台を1つのジャンルとしてマークを付けナンバリングを振ると、灯台のカードだけを集めるという楽しみ方ができます。最近、「ロゲットカード全部はいらないけど好きなジャンルだけは集めたい」という人が増えています。

続いて右下です。仮に「海と灯台プロジェクト」と入れましたが、この部分は各地域が自分たちで作ることができます。さらに、灯台擬人化プロジェクト『燈の守り⼈(あかりのもりびと)』を活用して、カード自体はそのままにしつつ、透明のスリーブに印刷したキャラクターをかぶせることもできると考えました。スリーブをかぶせた状態で連番を付けると、これがまたシリーズのひとつになります。ロゲットカードの中にこのようなシリーズはまだありませんが、実現したらおもしろいのではと思います。

今日は皆さんのお話を聞き、灯台はすごいな、めちゃくちゃ魅力的だなと感じました。まちの顔、シンボルとしてみんなに愛され、さまざまな思いがそこに集まる。そんな存在は、カードの素材としても非常に魅力的です。なぜなら、カードとはその場に行った思い出を形にして持ち帰ってくるものだからです。曲を聴くとその時の情景を思い出すように、後でカードを見た時に、その時誰と行ってどんなことを話したか、どんなことがあったか、そんな思い出を近くに感じることができます。そう考えると、灯台とカードの相性はとても良いと感じます。

私たちは、観光地がみんなで手をつなぎ、各地に行ったらカードがもらえる新しい文化を作るための仲間探しをしています。今日は皆さまのお話から、灯台の魅力をたくさん教えていただきました。何らかの形で一緒に取り組みができたらと考えています。ありがとうございました。