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編集長がゆく! 初の海外レポートはアイルランドから!

2019/08/21

不動まゆう灯台現地レポート

アイルランド編

いわゆる「3度のメシより灯台が好き」なマニアが綴る灯台レポート。灯台で「見て」「感じて」「味わった」ことをウンチクとともに伝える。

私はいまアイルランドの灯台めぐりをしている。首都ダブリンから、北アイルランドも含めて10日間でぐるりと一周する灯台ラリーだ。

あらかじめGoogleマップに灯台の位置をマークしておいて、そのナビを頼りにレンタカーで岬から岬へ移動していく。

こちらの灯台の特徴は、石造りの塔に白い塗装、赤く塗られた踊り場の手すり。多くの灯台は19世紀中葉から「アイルランド灯台の父」と言われるジョージ・ハルピンによって設計された。日本で灯台の父と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンと同様スコットランド人だ。

でも日本やスコットランドの灯台ともまた一味違う、のどかな可愛らしさがあるように思う。

アイルランドで最も有名な灯台は、現役灯台で世界最古の灯台のひとつと言われるフックヘッド灯台だ。建てられたのは1210年〜1230年。ウェールズから渡ってきたウィリアム・マーシャル伯爵の指示によって、城造りの技術を応用してつくられた。

1860年代にジョージ・ハルピンによって灯篭の部分が改修されたが、塔の部分はほぼオリジナルの状態というから驚く。初点当時は石炭による炎の明かりを目印としていたらしい。

また、この灯台は入場料を支払えば、内部の見学ツアーに参加できる。ツアーは工夫が凝らしてあって、中世の僧侶や、騎士に扮した人物の映像が映し出され、ツアーガイドがセリフを掛け合いのようにして話を進めていく。テンポが良くテーマパークのアトラクションのようで、子どもでも楽しく灯台の歴史を学べる。

そして私は、ただただ800年前に積まれた石積みに言葉を失った。

もう一基、アイルランドを代表するのがファストネット灯台だ。海上の岩礁に建つので、アイルランド人でも肉眼で見た人は少ない。私にとってこの灯台が今回の旅の一番の目的だった。

ボルチモア港から小型船で片道1時間ほどの場所にある。ひとり40€ほどで参加できるクルージングツアーもあるのだが、予約していたツアーが、参加者の定員割れを理由にキャンセルとなってしまった。諦めきれない私は、船をチャーターすることで拝むことができた。

この姿をみて、やっぱり灯台ってカッコいいと心から感じた。

すでに30基ちかくの灯台をめぐり、いま私がいるのは北アイルランド北部のラスリン島。ホステルが1軒しかない小さな島だが、港のパブで海をながめながらのアイリッシュエールはまさに至福。

海をながめながら食事をしたり、家族で散歩したり、絵を描いたり。キラキラ輝く海の情景が生活の一部になっているのが羨ましい。

私は毎日3〜4基の灯台をめぐるため、食事の時間も惜しんで岬から岬へ移動する毎日。陽が長く、暗くなるのが21時ごろなので、灯台の点灯を待っていると遅くなってレストランは閉まってしまう。そのためスーパーで買った総菜とパンが日々の食事だが、暮らしているような雰囲気を味わえる。

優雅な旅とはとても言えないが、灯台から灯台へ、そこに住む人々の生活を感じることができるのはとてもいい。

灯台が見せてくれるそこに住む人々の優しさ。そして灯台の素晴らしさを再認識して過ごしている。

アイルランドへはイングランドからフェリーで渡ったので、イングランドやウェールズの灯台も楽しんでます。

不動まゆうプロフィール画像

執筆者プロフィール

不動まゆう

灯台専門フリーペーパー「灯台どうだい?」編集発行人。自腹で世界各地の灯台を取材し発行している。灯台女子としてテレビ、ラジオ出演、新聞、雑誌への掲載も多い。毎年「灯台フォーラム」を企画・運営する。講演等で「灯台」や「フレネルレンズ」の文化的価値を訴え、「100年後の海にも美しい灯台とレンズを残す」ことを目指して活動の幅を広げ続けている。著書『灯台はそそる』(光文社)、『灯台に恋したらどうだい?』(洋泉社)。2018年11月1日海上保安庁長官から表彰を賜る。