編集長がゆく! たくさんの猫たちに囲まれた灯台?

2020/03/03

不動まゆう灯台現地レポート

熊本県 湯島灯台

いわゆる「3度のメシより灯台が好き」なマニアが綴る灯台レポート。灯台で「見て」「感じて」「味わった」ことをウンチクと共に伝える。

このピアスをつけて出勤した日、話したくてうずうずした。

よく見えるように髪は一つにまとめ、たまに首を小刻みに振って揺らしてみたりしたが、勤勉な同僚たちは私の挙動もスルーしてパソコンの画面を見つめている。

本当は、「今日のピアス、素敵ですね」といった言葉への返答として用意していたが、自分から申告することにした。

「このピアス、なんとシーグラスから作られてるんです!」

話が唐突なのはいつものこととして認識してもらっている。

「たぶん、茶色の方はビール瓶で、緑はサイダーかな。おしゃれを楽しみながらも、海洋ゴミ問題を考えるきっかけになると思うんだ」

「…あぁ、不動さん、連休でまた海に行ったとおっしゃっていましたもんね。似合ってますよ」

優しくて察しもいい同僚に囲まれて私は幸せだ。

そう、今回は熊本県の湯島を訪れた。上天草の江樋戸港から定期船で25分。

朝一の船は7時半出発で、まだ寝起きでぼーっとしていたが、デッキで風を浴びているとあっという間についた。

出迎えてくれるのは、たくさんの猫たち。この島には約300匹の猫がいるという。ねこ島という異名を持つことにも納得だ。

多くの観光客は猫とのふれあいが目的のようだ。警戒心のない猫たちは、撫でられて気持ちよさそうに目を細めたり、膝の上に乗ったりしている。

私も抱っこしたい!!!

でも、私の家には2匹の猫がおり、ここで匂いをつけて帰ったら間違いなく嫉妬されるだろう。それでなくても留守番をさせているのに、これ以上辛い想いをさせてはいけない。「キャバクラに誘われて断る男性の気持ちってこんな感じかしらん」と想像しながら、まっすぐ灯台を目指した。

目指す湯島灯台は港から徒歩約15分。内訳としては、のんびりとあるける海沿いの道が約10分。がんばって登る階段が約5分。でも、私のうしろから小さな女の子も楽しそうに登ってこれたぐらいなので、ご心配なく。

ねこ島の灯台として、湯島灯台は “猫灯台” となっていた。アプローチにも猫の足跡がついていることに注目してほしい。

猫がぐるりと描かれた灯塔。

初点灯プレートの上にも猫がくつろいでいる。

普段はあまり写真のアングルに入れたくない太陽光パネルも可愛らしくなっていた。

少し高台にのぼって振り返ると、新たな灯台の表情に気がついた。海を見つめる優しい眼差し。灯台と同じ目線のアングルがあるのは貴重だ。

灯台の裏側をさらに登っていくと、だいこん畑に出た。

この「湯島大根」は幻の大根と言われる。みずみずしく甘みが強いのが特徴だが、生産量が少なく地元でしか出回らないのだ

12月から2月の時期に湯島を訪れたらぜひ味わってほしい。

そこで、大根も味わえるオススメのカフェがある。こちら、「ぼんやりカフェ」だ。

特等席はここ! まさに海をぼんやりと眺めるのにうってつけだ。

大根を楽しむならフィッシュバーガー。えっ? 大根なのにフィッシュバーガー!

地魚のフライと一緒に挟まっているのは、なんと大根のツマ! さすが湯島大根。 これがシャキシャキとみずみずしいのだ。

さらに、ポテトフライだとおもって食べたら…。

「だ、だいこん?」

そう、柔らかくジューシーな大根フライだった。

湯島は、優しい表情の灯台があって、猫がいて、大根が美味しい。シーグラスのピアスや、猫をモチーフとしたお土産物も充実している。

東京からだと、飛行機で熊本まで行って、車で天草まで行って、船…って、ちょっと遠く感じるかもしれないが、ここでしか味わえない特別な時間がある。

つまり、連休明けに出社して、同僚に勧めずにはいられないわけだ!

観光大使のごとく湯島を勧めまくったあと、この写真を見せて満足した。願いが叶うというハートのアコウ樹と、出会うと幸せになれるオッドアイの白猫ちゃん

「縁起の大盛りだよ!」といって押し付けがましく…。