編集長がゆく!うどんもいいけど灯台もね!香川県の灯台めぐり
2020/03/16不動まゆう灯台現地レポート
香川県 玉藻防波堤灯台ほか
いわゆる「3度のメシより灯台が好き」なマニアが綴る灯台レポート。灯台で「見て」「感じて」「味わった」ことをウンチクと共に伝える。
香川県と言えば…ほとんどの人が「うどん」というだろう。確かに讃岐うどんは美味しい。「うどん県」と名乗るのもよくわかる。でも私は言いたい。香川県は「灯台県」だ!
香川にはそのぐらい個性的で魅力たっぷりの灯台があるってことを、これから力説する。
まずは高松港の玉藻防波堤灯台。世界初のガラスの灯台だ。小雨降る日中の姿は、儚げで幻想的。
近くから見上げると、ガラスタイルで造られていることがわかる。
あ、フェリーがやってきた。
このフェリーは高松から女木島、男木島を結んでいる。そしてそれぞれの島に灯台があるのだ。行ってみよう。あれ?女木島のところに鬼ヶ島って別名が書いてあるぞ!(伏線)
高松港から20分。まずは女木島に到着。出迎えてくれるのは鬼。棍棒の代わりに灯台を持つ。鬼なのに海の安全を守る優しいヤツ。
むっちりわがままボディですな。
桃太郎というと岡山県が有名だが、香川県にも桃太郎伝説は残る。古事記や日本書紀に登場する稚武彦命(わかたけひこのみこと)をモデルにしたもので、高松市の「熊野権現桃太郎神社」には、桃太郎と仲間たちのお墓(桃太郎だけじゃなく、猿、キジ、犬のお墓も)がある。
ちなみに、この神社のある町の名は「鬼が無い」と書いて鬼無(きなし)。桃太郎のおかげで鬼がいなくなったことが由来らしい。そして女木島が鬼ヶ島だったというわけだ。
台座には小鬼たち。こんな可愛い鬼だったら退治なんかできないね。仲良くしよう。
さらにフェリーに揺られること20分で男木島に到着。
灯台ファンの間でも人気が高い男木島灯台は、明治28年に初点灯した歴史的灯台。灯台守の人生を描いた映画「喜びも悲しみも幾年月」でも登場する。そして日本に数少ない無塗装の灯台。
御影石で造られた美しさを堪能でき…。
ん…。ちょうどメンテナンス中。うん、こんなこともある。見方を変えるとヘルレイザー(映画名)みたいで、カッコいい。
クリア塗装で保護すると共に、御影石の風合いをさらに引き立てるそうだ。今頃さらに美しくなっているはずだ、再訪しなきゃ。
ちなみに女木島、男木島にはインスタレーションや、アート作品が展示されていて、見所も満載だ。あと男木島の港で食べたサザエの壺焼き(とビール)、美味しかったなぁ。
では、フェリーで高松港にもどろう。そろそろ玉藻防波堤灯台が点灯しているころだ!
素晴らしい。そしてさらに暗くなると…。
その姿、夜に咲く花の如し。昼間に降った雨のおかげで、濡れた地面に反射する光もいとおかし。
私が写真を撮っていたら、毎月のように撮影に来ているという男性が話しかけてくれた。自分の撮影した写真がローカル局のニュースで紹介されたこともあるらしい。
「この灯台は3冠王なんだ。『恋する灯台』と、『日本三大夜灯台』と、『日本夜景遺産』に選ばれてるんだから。こんな灯台ほかにはないぞ!」
そう、嬉しそうに自慢してくれた。地元の人が灯台自慢をするのを聞くとすごく嬉しくなる。この男性はフェリーの発着時間をすべてメモっていて、そろそろ来るよと教えてくれた。そのおかげでこんな写真も撮れた。
この灯台の充実度。やっぱり香川は「灯台県」だと思いつつ、夕飯を食べにうどん屋に入った。冷えた体に沁みる…こんな美味しいものがこの世にあったのか。
なるほど、さすがはうどん県。結局、香川県はうどんも灯台もめっちゃいいってことで納得した。