海の安全を守る灯台を維持管理する海上保安部職員に継承される思い 【佐賀県唐津市 肥前向島灯台】

2023/03/28

日が暮れると灯が灯り、航海の安全を見守ってくれる灯台。その灯台を管理するのは海上保安部交通課の仕事だ。「灯台などの航路標識は島や浅瀬を示しているので、船舶が安全に航行するために重要な役割を果たしています。唐津海上保安部では93基の航路標識を管理しています」とその役割の重要性と、管理業務について説明してくれたのは、2022(令和4)年春に唐津海上保安部交通課に配属された若松久乃さん。

そんな唐津海上保安部交通課が管理する灯台のひとつが、肥前向島灯台だ。玄界灘の東松浦半島の沖に位置する人口わずか50名の唐津市肥前町の向島(むくしま)に1953(昭和28)年に建てられた。

唐津海上保安部交通課で課長を務める豊田龍一さんは、「唐津海上保安部では、航路標識の現況調査を年に1回行っています。いつも島民の方々に声を掛けて、コミュニケーションを取って灯台に異常がなかったかどうか、また、他に困ったことがないかなどを聞いています」と語る。

一方、そんな灯台の存在について、「(海から戻る際には)やっぱり灯台を見るんですよ。安全な航海でありますように、ってね。やっぱり灯台はいいですよ、ホッとします」と語る向島の漁師さんの言葉には、海で生きる漁師としての実感がこもっている。こういった離島では、島の人に「灯火監視協力者」になってもらい、必要に応じて灯台の点灯状況を確認してもらうこともある。

点検作業に向かう海上保安部交通課の職員は、港から30分ほど歩いて向島灯台に到着すると、海上から約80メートルの高さとなる最上部まで登り、灯火を点検する。最近の灯台では、太陽電池・LEDを使用しているので、年に1度の点検で維持が可能になっているが、その点検作業が大変であることには変わりがない。

若松さんは「私たちが保守点検をすることで船舶の事故を未然に防げると思うので、これからも頑張ってやっていきたいと思います」と意気込みを語る。こうした地道な日頃の管理によって万全の状態が維持され、灯台は島の人々の暮らしと海の安全を見守り続ける。

 

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