震災復興をきっかけに開始した一般開放で毎年賑わいを見せる 【青森県八戸市 鮫角灯台】

2023/03/28

青森県八戸市の種差海岸にある鮫角灯台は、1938(昭和13)年の初点灯から80年以上にわたって八戸港に出入りする船舶の道標となっており、白亜の美しい外観から「日本の灯台50選」にも選定されている。

昨年、2022(令和4)年の「海と灯台ウィーク」に先立ち、5月から10月にかけて一般開放が行われたが、八戸海上保安部次長の吉元秀州さんは「鮫角灯台は、無人になってからは一般の方の立ち入りはできませんでしたが、2013(平成25)年に種差海岸から灯台までの一帯が三陸復興国立公園に指定されたのを機に、当時の市長さん(小林眞氏)から嘆願があり、それ以降は一般開放を行っています」と説明する。

さらに、奈良県の出身で海への憧れが高じて海上保安庁に入庁したという吉本さんは、レーダーなどの航行機器の発達によってかつてほど灯台の必要性がなくなったと言われることに対して「それでもやはり海を行き来する人々にとって、灯台の明里が見えることで日本に帰ってきたことが実感できる。これからも守っていきたいと思っています」と語った。

鮫角灯台は、海岸線から100メートル以上奥まった高台の上に建つ。眼下に広がる緑の草原と海沿いを走るJR八戸線の線路、さらにその先には太平洋の大海原が一望できる、灯台としては珍しいロケーションで、一般開放に訪れるファンは数多い。

八戸市商工労働観光部観光課の永田有貴子さんは「全国各地の様々なところから訪れて頂いていて、種差海岸の魅力を味わうことができる観光スポットとして好評です。今年度は4000人以上の方にご来場頂きました。また来年度もお越し頂けることをお待ちしています」とアピールした。

近隣には、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている蕪島や、競走馬を育てるタイヘイ牧場などもあり、一帯を訪れる観光客にとっては見どころが多い。その中にあっても鮫角灯台はシンボル的な存在としてこれからも一層親しまれていくことだろう。

 

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