豊後水道を見渡す眺望と豊かな自然が多くの人を魅了する 【大分県佐伯市 鶴御崎灯台】

2023/03/28

九州の最東端に位置する大分県佐伯市の鶴御崎灯台は、豊後水道に突き出た細長い鶴見半島の先端にあり、九州で最も早く初日の出が見られる人気スポットだ。1981(昭和56)年に初点灯した比較的新しい灯台だが、ボランティア支援センター鶴亀屋で事務局長を務める肥後四々郎さんは「鶴見半島では1975(昭和45)年頃から観光開発を始めたんですが、当時の鶴見漁協の組合長さんが(観光開発のために)灯台を建てようと提案したのが発端になっています。地元の漁業関係者や自治体が協力してできた灯台なんです」と、その建設の経緯を語る。

肥後さんはさらに「漁業関係者からは、潮の流れがとても速くて危険なこの岬のまわりを航行するのに、灯台ができてとても助かったと聞いています」と付け加える。海抜200メートルの絶壁に立つ鶴御崎灯台は、鶴見崎自然公園のシンボルとして親しまれており、標高273メートルの展望ブリッジからは豊後水道から四国までを一望できる絶景のパノラマが楽しめるほか、「幸せの鐘」を鳴らすために訪れるカップルも数多い。

「以前はいろんなイベントでずいぶん賑わいましたが、朝早く来て野鳥の声を聞くなど自然を楽しんだりもできますし、バイクのツーリングコースにも最高だと思います。近くにはかつての軍事施設が今も数多く残っていて、文化的・歴史的にも果たす役割は大きいと思います」と肥後さん。こうした遺構は、1894(明治27)年に建設された海軍望楼跡や、大正から昭和にかけて陸軍によって構築された要塞や砲台など様々で、戦略上重要な海域でもあった豊後水道ならではのものと言えるだろう。

周囲を360度見渡すことができる展望ブリッジは、灯台職員が中心となって花を植えるなど整備されており、肥後さんも「心の癒やしの場になれば」との思いを強く持っているという。

 

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