明治期の石造り灯台として唯一の八角形のフォルム 観光活用へ期待も厚い 【愛媛県今治市 大下島灯台】

2023/03/31

国土を海に囲まれた日本にとってなくてはならない灯台。「海と日本PROJECT」では、「海と灯台プロジェクト」と題して、灯台の歴史や文化的価値を再認識し、様々な活用方法を発見・開発することでその利用価値を高める取り組みを進めている。

今治港からフェリーでおよそ45分、瀬戸内海のほぼ中央に位置する芸予諸島の有人島、大下島には、1894(明治27)年5月15日に初点灯した大下島灯台がある。

今治市で地域の歴史を研究する地域史研究家、大成経凡さんは「今治市内にある洋式灯台では最も古く、なおかつ現役で活躍する灯台です。同じ日に9基の航路標識が一度に点灯したうちの1つです。また、明治時代に作られた石造りの洋式灯台では唯一の八角形で、“兄弟”とも言える同日に初点灯した他の8灯台はすべて円形なんです。また、当時の多くの灯台と同様にフランス製のレンズを採用しており、2017(平成29)年にLEDに変更されるまで122年間にわたって使用していました。そのレンズは今治市に寄贈され、現在は大下島の集会所に保存展示されています」と、大下島灯台の歴史とその特徴を解説する。

さらに、大成さんは「海上航行者からすると灯台は安全のよりどころとなる場所ですが、陸から見ると(灯台を中心とした景色は)絶景なんですよね。海に対して自己主張している分、非常に見栄えが良いので、“癒やし”の存在として観光に活かす方法があるのではないか、と考えています」と、その活用法についても思いを巡らせる。

そんな大下島灯台は、空と海の青と木々の緑との間に鮮やかなコントラストを描き、今日も悠然と地域の海を見守り続けている。

 

▼応援動画もあわせてぜひチェックしてみてください。