かつて東洋一の光度を誇った九州で唯一の「のぼれる灯台」は景観も抜群 【宮崎県串間市 都井岬灯台】

2023/03/31

毎年11月1日に制定されている「灯台記念日」にちなみ、それを含む1週間を「海と灯台ウィーク」として日本財団と海上保安庁の協力により全国で様々なイベントを行っている。その目的の1つは、近年存在意義が薄れつつある灯台の価値や、地域との関係性を再評価し、海と人と灯台を結ぶコミュニティを活性化させることだ。

宮崎県の最南端、串間市にある都井岬灯台は、「日本の灯台50選」にも選ばれている白亜の美しい灯台だ。全国に16ヶ所ある参観可能な灯台のうちの1つでもあり、九州では唯一の「のぼれる灯台」として観光名所にもなっている。

航路標識事業の発達を助成し、航路標識に関する知識の普及を図る公益社団法人「燈光会」の都井岬支所長、井手喜美子さんは「海抜245メートルの断崖の上に立つ都井岬灯台は、登録有形文化財に指定されています」と語る。1939(昭和4)年12月22日に初点灯した当初の光源は1300カンデラの石油ランプだったが、その後、1944(昭和19)年に電気化され、300万カンデラの光度は当時東洋一を誇った。戦時中の空襲や台風による被害でたびたび修復を繰り返しながらも、コンクリート造の灯塔の外観は変わることなく、今なお海の道しるべとして活躍し続けている。

井手さんはさらに「屋上庭園式という珍しい設計になっていて、360度の景色を見渡すことができます。ぜひ都井岬灯台に来て絶景を楽しんでいただければ」と、その恵まれたロケーションと景観の特長をアピールする。入口近くには「都井岬灯台資料展示室」も燈光会によって開設されており、灯台の役割やメカニズム、都井岬灯台の歴史を学ぶことができる。灯台からの景観や豊かな自然に恵まれた周囲の散策までをも楽しめる、まさに地域に根ざした観光スポットとしても白眉の存在と言えるだろう。

 

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