映画にも登場した赤白2色のビジュアルと、今はなき霧笛の音が記憶を彩る 【北海道小樽市 日和山灯台】

2023/03/31

小樽市の高島岬に立つ日和山灯台は、目に眩しい赤白ボーダー柄のツートーンカラーが特徴的な灯台。1883(明治16)年初点灯と、北海道では納沙布岬灯台(根室市)に次ぐ2番目に古い歴史を持ち、1957(昭和32)年の映画『喜びも悲しみも幾年月』ではラストシーンに登場したことでも知られる。

この日和山灯台では、かつて光以外の方法を使って船の安全を守っていた。「ラッパ(音響設備)はここにあったと思います」と、地元で民宿「青塚食堂」を営む青塚忍さんは灯台の傍らの場所を指し示す。「みんな“ボー”と呼んでいました。僕らが小さい頃から『ボー鳴ったぞー』とよく言われていました」と青塚さんが語るその音は、霧信号所の霧笛によるもの。悪天候で視界が悪いときに、音によって沖合いの船に灯台の位置を知らせるのだ。

地元の人々にとっても身近な存在であった霧笛の音について、「吹雪や霧の時に鳴るんです。父親も漁師でしたから、霧笛の音を頼りにしていたのでしょう」と青塚さんはその思い出を語る。

日和山灯台は初点灯の頃は白1色だったが、吹雪の日でも見えやすいようにと、1968(昭和43)年に現在のような赤白2色に塗り替えられた。前述の霧信号所は1911(明治44)年に併設され2010(平成22)年に閉鎖されたが、そうした日和山灯台の歴史は、時折行われる一般公開の際に展示コーナーでも見ることができる。

小樽海上保安部交通課長の芝山智司さんは「(展示を通じて)灯台の仕事をみなさんに知って頂きたい」と言う。見学に訪れた人も「地道に安全に貢献しているところが心に響きます」と感じ入った様子だった。

霧笛の音は消えても、海を守る灯台の役割はこれからも変わることはない。「小さい頃はよく灯台に来て遊んでいましたね。ここに同級生がいたので遊び場になっていました。これがなくなったら高島岬じゃなくなってしまいます」という青塚さんが抱く日和山灯台への思いもまた、変わることはないだろう。

 

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