北海道最南端の灯台から見る松前の航路標識史
2026/07/08
松前藩の拠点として栄えた北海道唯一の城下町、松前町の航路標識の歴史をひもといた研究ノート「松前の航路標識—白神岬灯台を中心に—」がこのたび、全国文化財総覧サイトで公開されました。松前町教育委員会が発行する『松前町郷土資料館研究紀要』第3号に収録されています。
松前町教育委員会事務局文化財係長の佐藤雄生さんによるこの研究ノートは、北海道最南端に位置する松前町を「北海道と本州を結ぶ海上交通の拠点」としてとらえ、近世から近代、現代にかけての航路標識の歴史を整理したものです。松前城下にあった7つの船着き場、岩礁地帯に立てられた標識杭、日和山や常夜灯、そして近代以降の灯台などを通して、地域の人々が海と向き合ってきた歩みが紹介されています。
中心的に取り上げられているのが、明治21(1888)年から光を放っている白神岬灯台です。白神岬は津軽海峡西口に位置し、青森県の竜飛岬と向かい合う北海道最南端の岬です。古くから潮流や霧の影響を受ける難所として知られ、この場所に建てられた灯台は、海峡を行き交う船舶の安全を支えてきました。
研究ノートでは、白神岬灯台の建設や戦時中の状況、戦後の改修、無人化、近年のLED化に至るまでの来歴が、新聞記事や海上保安部提供資料などをもとに詳しく整理されています。特に注目されるのは、昭和26(1951)年の改築後に設置され、令和6(2024)年まで使用された第4等フレネルレンズと水銀槽式回転装置です。
白神岬灯台は現在、一般の立ち入りはできない場所にありますが、地域の人々にとっては身近な存在です。かつて灯塔のペンキ塗りやレンズ清掃に関わった町民の記憶、白神岬周辺の岩海苔を用いた「白神海苔」のパッケージに灯台が描かれていることなどからも、灯台が地域のシンボルとして受け止められてきたことがうかがえます。

73年にわたり津軽海峡を照らしてきた第4等フレネルレンズは現在、松前町郷土資料館で郷土史を伝える資料として展示されています。海の安全を支えてきた灯台の歴史を、地域文化の視点から見つめ直す研究として、多くの人に読んでいただきたい内容です。
『松前町郷土資料館研究紀要』第3号は下記リンクからPDFでダウンロードできます。
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/147586
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白神岬灯台の旧レンズを公開 松前町郷土資料館で展示開始
