「恋する灯台」認定表敬訪問レポート⑰【岩手県普代村 陸中黒埼灯台】
2019/09/20こんにちは。日本ロマンチスト教会です。2019年 日本財団 海と日本プロジェクト「恋する灯台認定行脚2019」第7弾は、岩手県普代村の陸中黒埼灯台です。
岩手県は県庁所在地である盛岡から海に出るまでクルマで2時間以上を要します。今回訪れた普代村も、盛岡からクルマで2時間半という場所。
そして普代村といえば、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、先代村長・和村幸得氏の強い意志で建設された高さ15m以上の普代水門の効果により、死者がひとりも出ず、「奇跡の村」として世界中に知れ渡った場所なんです。
普代村に到着すると町の至るところに、「恋する灯台」認定の幟やマークが掲げられ、歓迎ムード一色であることに圧倒されます。今回は、灯台女子として知られ、全国灯台文化価値創造プロジェクトのポータルサイト「灯台へ行こう」の編集長でもある、不動まゆうさんもご一緒しています。
陸中黒埼灯台のルーツは、昭和22年、漁業協同組合の尽力で建設された「普代灯柱」です。これが昭和26年に海上保安庁に移管され、昭和27年に本格的な沿岸灯台を建設し、「普代灯台」が完成したわけです。これは地域の方々の相当な尽力があって、実現したものだと伺いました。
以来、北緯40度であるこの場所で舳先を変え、一路、根室、釧路など北に航海するための重要な拠点として、陸中黒埼灯台は存在。その後、昭和41年に名称を「陸中黒埼灯台」に変更し、現在に続いています。
三陸沖にそそり立つ陸中黒埼灯台は、古きよき景勝地の名残りを留めています。松林に断崖絶壁、激しく打ちつける波しぶき、そして水平線に広がる広大な太平洋。非常に男性的であり、日本画的な海の世界です。そして神殿に進むような長い階段を降りた先にある白亜の灯台は、こじんまりとしながらも海に悠然と立ち向かう勇者の背中を思わせます。
認定式前夜は、不動まゆうさん、村長、副村長、村議、村役場のみなさんと囲炉裏を囲み、灯台をどのように観光に生かすかの議論をさせていただきました。
そして翌朝、認定式と思いきや、認定記念式典として行われるとのことで、近隣の村長たち、県議会議員のみなさん、県の職人や海上保安庁の方々など、そうそうたる顔触れで「恋する灯台」認定を祝っていただきました。
不動まゆうさんの講演、海上保安庁の講演、三陸ジオパークの講演など、どれも灯台をさまざまな視点で見つめる示唆深い内容で、ますます灯台をどのように掘り下げていくか、楽しみになりました。
その様子を会場で目にしながら改めて灯台は、地域の海の信仰であったり、海の文化であったり、航海の歴史であったりと、さまざまな側面から振り下げることができるものなんだと思いを新たにしました。
ちなみに、近隣の鵜鳥神社では、海の信仰に根ざした神楽だけでなく、大大吉のおみくじが引けるらしいです。さらに「海のトレッキングコース」があったり、大船団が大漁旗を掲げる地元の船祭りがあったりと、海にまつわるさまざまな楽しみ方が用意されている普代村。ぜひ訪れてみてください!