調査研究によって導かれた灯台のストーリー
遣唐使、捕鯨、戦争…歴史と自然にふれられる灯台
玄海灘を望み、遠くは壱岐や対馬を眺める生月島(いきつきしま)の、約100mの断崖絶壁に立つ白亜の大バエ鼻灯台。
島の名は、日本に戻る途中の遣唐使がこの島を見つけて安堵し「一息ついた」ことに由来します。
そんな海上航路の要所に建てられた大バエ鼻灯台のある場所は、江戸時代には捕鯨船の安全航行を見守り、戦時中には砲弾庫として利用された歴史も。
灯台本体に照射灯が併設されている点が珍しく、外側には海の絶景を楽しめるよう階段が設置されています。
大陸からの渡り鳥の中継地で、様々な野鳥にも出会えます。
事業概要
- 事業名
- 灯台からのメッセージ・灯台マルシェ
- 実施団体名
- 「灯台からのメッセージ」運営委員会
- 対象灯台
- 大バエ鼻灯台(長崎県平戸市)
- 事業の背景と課題
- 大バエ鼻灯台は、歴史的・文化的背景、素晴らしい景観に恵まれながらも、長崎県の最北端の地でもあり、周辺地域だけでなく地元の人々にもまだまだその魅力が認知されていません。
- 連携した団体等
- 生月地区まちづくり運営協議会、NPO法人山田・舘浦地区まちづくり運営協議会、長崎県、平戸市、同観光協会、同生月支所、生月町博物館「島の館」、生月漁協協同組合、舘浦漁協協同組合、(公財)佐世保観光コンベンション協会、同海上保安部
調査・研究概要
1.灯台とその周辺の戦争の遺構についての調査・講演・ワークショップ
- ①灯台とその周辺の戦争の遺構についての調査・講演・ワークショップ
- ②灯台のある御崎地区と捕鯨の歴史について調査・講演・ワークショップ
- ③渡鳥の中継地としての灯台のある地区の調査・講演・ワークショップ
- ④「灯台メシ」メニューを地元飲食店様と研究
2.灯台マルシェ・大バエ鼻灯台にて調査研究成果の発表と集客試験実施
- ①有識者による「戦争の遺構」ミニツアー(参加者のべ60名)
- ②捕鯨の歴史と「勇魚太鼓」の発表(灯台マルシェ来場者約1,000名)
- ③バードウォッチングで渡鳥の調査研究(参加者のべ60名)
- ④「灯台メシ」メニューの発表(10店舗、10のメニュー開発)
- ⑤灯台マルシェ開催により大バエ鼻灯台への集客試験実施(目標300名に対し、実数約1,000名来場)
調査研究・実証実験による成果
灯台×戦争・捕鯨・渡り鳥ワークショップ
12月と1月に計3回、専門家の講演と、地域の人々の意見交換ワークショップを実施。戦争・捕鯨・渡り鳥をテーマに灯台の利活用について協議。
灯台周辺ガイドツアーを実施
有識者によるミニツアーで、灯台が戦時中に砲弾庫になった歴史や、今も残る戦争遺構を紹介。地元ガイド協会が継続して研究を重ねるきっかけとなった。
渡鳥の中継地バードウォッチング
1/28開催の勉強会を踏まえ、渡鳥の中継地であることをアピールし、魅力的な場所であることを再確認。集客の可能性を示した。地元協会が本ツアー継続予定。
夕陽と灯台を背景に「平戸神楽」披露
夕陽と灯台を背景に披露することで、この神楽の神秘的な魅力を発信。来場者からは「自然と涙が流れた」など、地元神楽の魅力を再発見する機会となった。
10店舗の「灯台メシ」を開発・発表!
地元・近隣の飲食店と共にメニューを開発・発表。ほとんどの店舗で完売!イベント後も「灯台メシ」の販売を促し灯台の魅力を継続発信することになった。
長崎県の最北部への集客実験
インフラの不便さからこの地に集客は難しいという概念があった場所に予想をはるかに超える集客を実現!(目標300→実数約1,000)
駐車場確保とシャトルバス運行によって目標を超える集客を達成
実証実験イベント時に、周辺に臨時駐車場を5か所(計200台分)確保し、距離のある場所からはシャトルバス2台を運行。来場者のアクセスをスムーズにしたことで集客の成果につながった。
地元協議会の協力を得て、イベント運営ボランティアを確保
生月地区まちづくり運営協議会の協力を得て、ボランティアスタッフ30名を確保し、実証実験イベントの不安要素であった人手不足を解決。(当会の負担は昼食代のみで人件費を抑えることができた)