「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」話題の灯台を二人で訪ねよう【千葉県旭市 飯岡灯台】

2018/11/29

美しい砂浜が果てしなく続く九十九里浜と、その隣に連なる高さ約60mの断崖絶壁、屏風ヶ浦。千葉東岸を彩る2つの奇観の境に位置する刑部岬の一角に、2018年認定の「恋する灯台」飯岡灯台があります。 この近辺の海は、北からの千島海流(親潮)と南からの日本海流(黒潮)が交わる日本有数の好漁場で、飯岡灯台が60年来見守り続ける飯岡漁港は、漁獲量が千葉県第2位という水産物の宝庫。漁港の一角にある親水型防波堤は、家族連れや釣り初心者も気軽に楽しめる釣り場でもあります。 この豊かな海を一望できるのが、灯台のある「上永井公園」。 好天の日には九十九里浜の遥か彼方に富士山の雄姿を望み、10月中旬と2月下旬には夕日が富士山頂に沈む「ダイヤモンド富士」の名所となります。夜景も美しく、港の灯りと湾曲する海岸線に連なる街の灯りのダイナミックな眺めは、「日本夜景遺産」にも選ばれています。 そして飯岡灯台も、太平洋を背にした白亜の姿はなんとも絵ごころをそそる風情。日本の灯台の中では歴史が浅い方ですが、以前から数々の写真や絵画、詩歌などのモチーフとなってきました。 その飯岡灯台の名をひときわ高めたのが、ドラマ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』です。 昨年公開されたアニメ版が記憶に新しいところですが、そのルーツは1993年に放送されたテレビドラマでした。監督を務めた岩井俊二氏はこの作品で一躍注目され、2年後には映画として劇場公開。岩井氏が映画監督としてスタートするきっかけとなった作品です。 ⒸRockwell Eyes Inc. その物語の、重要なシーンを彩ったのが飯岡灯台。同時に旭市内(当時・飯岡町)各地でもロケが行われました。ロケ地を選ぶにあたり、ドラマ化当時のプロデューサーが「この町以外にない」と断言したというエピソードが残っています。ちなみに、2000年公開の映画『ジュブナイル』のロケ地にも選ばれています。 この作品の根強いファンは多く、アニメ映画の公開によって、改めて注目を集めました。それを機会に、作品の原点である飯岡灯台を「聖地巡礼」する人や、デートコースに選ぶ人が増えているとか。 そこで地元の旭市では、この作品を記念するモニュメントを製作。上永井公園内の、灯台がよく映える場所に設置しました。 モニュメントの両側の柱の上に手をかざすと、ドラマ版の音楽を担当したアーティストREMEDIOSによる主題歌「FOREVER FRIENDS」のオルゴール曲が流れる仕組み。 カップルで来るなら、晴れた夕方がロマンチックです。モニュメントの正面に並び、手をつないでそれぞれの柱に手をかざしてみてください。映画の世界を思い起こさせる美しいメロディが二人を包み、夕日に照らされる飯岡灯台と、その向こうに広がる太平洋の雄大な景色を二人の思い出に刻むことができます。 もし夏に訪れるなら、ドラマのモチーフになった花火大会を狙ってみてはいかがでしょう。飯岡海岸で毎年開催される「いいおかYOU・遊フェスティバル」。もちろん灯台近辺からも鑑賞できますし、会場の「萩園公園」からはほぼ「下から」見ることもできます。 そのほか、豊かな自然や「龍福寺」などの歴史ある寺社、昭和の面影を残す街並に「旧林家住宅」などの古民家、のどかな田園地帯に建つ風力発電施設など、映像クリエイターにインスピレーションをもたらしそうな風景がたくさんです。 市としても、ARを使ったロケ地めぐり案内など様々な企画に乗り出し、また新たな作品のロケ地誘致にも力を入れていくとのこと。街歩きや映画が好きなお二人は、今後注目です。