「海と灯台のまち」最新の取り組みを発表!海と灯台プロジェクト連携会合2020(前編)

2021/03/10

日本財団は「海と日本プロジェクト」と9つの自治体がZoomを使ってつながり、「海と灯台プロジェクト連携会合2020」を2021年2月4日(木)に開催しました。新型コロナウイルスの感染予防対策により、オンラインでの情報共有となりましたが、現在までさまざまな海と灯台にまつわる事業を実施してきた各自治体の灯台関連の取り組み、新たに見えてきた課題、そして、次年度以降目指すものなど、たくさんの意見やアイデアが飛び交い、2時間強のイベントでありながら、あっという間に感じてしまうほど、盛りだくさんな内容となりました。

今回は最初のテーマ、3自治体による「調査研究事業の発表」をご紹介します。

 

【灯台を起点に地域の文化財を辿る施策を】

まずは青森県下北郡東通村・尻屋埼灯台について。発表者は東通村経営企画課商工観光室 総括主査の小笠原格氏です。大きな取り組みとしてモニターツアーを実施し、灯台を見て終わりではなく、灯台つながりで尻屋という町を特別な存在にできるという考えが浮かび、“新たな視点”でのパンフレットを完成させて集客に取り組んでいるとのこと。

来訪者向けに作成したパンフレットですが、地域の方にも手にとってもらい、美しい景色とともに、尻屋崎灯台が歩んできた歴史を伝えていきたいと強くアピールしていました。

【灯台を目指すドライブを推進。文化財も掘り起こし】

続いては宮城県石巻市・大須埼灯台について。発表者は大須灯台(ともしび)会の小松英雄会長と雄勝町渚泊推進協議会代表の阿部久良氏です。地元大須灯台会が周辺を自主的に綺麗にしてくれていた大須埼灯台は、地域の人や訪れた人の憩いの場となっています。2018年に宮崎県内初の「恋する灯台」に認定されてからは、地域内外から訪れる人が増えたことをきっかけに、道路整備や駐車場整備をスタートさせ、あと1、2ヶ月ほどで完成予定とのこと。更なる来訪者が見込めると期待しているそうです。

2020年は、インフルエンサーによるモニターツアーを実施。ツアー後にはSNSで積極的にPR活動もしていただき、反響を実感しているとのこと。大須埼灯台ドライブマップも作成し、雄勝町を旅する新たなツールとして期待しているそうです。展開する渚泊Stationでは、マグカップ、キーホルダー、手拭いなど大須埼灯台オリジナルグッズも積極的に販売中です。

【灯台への観光を、最北端の人々との出会い旅に】

続いては、石川県珠洲市・禄剛崎灯台について。発表者は奥能登 国際芸術祭実行委員会の長江健太事務局長です。能登半島さいはての狼煙岬にたたずむ禄剛埼灯台。絶景とさいはての世界観に浸り、写真を撮ったら目的終了という一般的な灯台観光からの脱却をはかるべく、モデルツアーを実施しました。灯台に訪れるだけでなく、能登さいはて資料館で歴史を、須須神社にてキリコ祭りを学び、珠洲焼資料館で海揚がりの珠洲焼きを体験し、北前船主屋敷でヨバレ御膳を食すなど盛りだくさんな内容でした。

ここでの気づきは、禄剛崎灯台への旅の目的が何であれ、結局その場所に住む人と出会うことが一番の楽しみだということでした。魅力的な人が集まる能登半島最北端で人と出会う旅へ。さまざまな体験を提供していきたいそうです。

(中編「モデル事業」発表に続く)

 

取材:タナカシノブ