「海と灯台のまち」最新の取り組みを発表!海と灯台プロジェクト連携会合2020(後編)

2021/03/16

日本財団は「海と日本プロジェクト」と9つの自治体がZoomを使ってつながり、「海と灯台プロジェクト連携会合2020」を2021年2月4日(木)に開催しました。新型コロナウイルスの感染予防対策により、オンラインでの情報共有となりましたが、現在までさまざまな海と灯台にまつわる事業を実施してきた各自治体の灯台関連の取り組み、新たに見えてきた課題、そして、次年度以降目指すものなど、たくさんの意見やアイデアが飛び交い、2時間強のイベントでありながら、あっという間に感じてしまうほど、盛りだくさんな内容となりました。

今回は3自治体による「海と灯台のまち」に関する発表を紹介します。

 

【灯台周辺を白いバラのLED照明でSNS映えスポットに】

まずは、千葉県旭市・飯岡灯台について。発表者は旭市商工観光課副主査の林憲一氏です。2020年の取り組み事例は、ライトアップ企画「飯岡灯台恋するライトアップ2020」とバレンタインデー応援企画「恋バナ応援ウィーク」の2つでした。ライトアップはLED照明の白いバラを600本植えて、幻想的でロマンチックな夜を演出したそうです。

今回が恋する灯台として初となるバレンタインデー応援企画では、灯台付近を造花で装飾したフォトスポットを設置したり、旭市産のいちごや胡蝶蘭が当たるインスタキャンペーンを実施。1日平均126人の訪問があったそうです。コロナの影響で、予定より短い開催期間となり、はがゆい気持ちもありつつ、しっかり企画すれば、人は集まってくれることを実感したそうで、自信を持ってPRしていきたいと熱量を感じる報告となっていました。

 

【灯台100周年事業でクラウドファンディングを達成】

続いては、愛知県知多郡美浜町・野間埼灯台について。発表者は一般社団法人 美浜まちラボ 野間埼灯台 登れる化プロジェクト プロジェクトリーダーの林達之氏です。こちらは「野間埼灯台登れる化プロジェクト」です。全国に16基ある登れる灯台を例に挙げ、来訪者が多いことに触れ、「お金のない美浜町にはうってつけ!」と思いついたそうです。登れる灯台はなろうと思って慣れるものではないことが判明したそうですが、林氏は諦めません。

灯台の活用で観光や地域の活性化をはかり、地元民の声を盛り上げ、地元自治体を動かし、そして海上保安庁や国を動かし、登れる灯台を制定する法律を動かすところまで、目指していると強く訴えていました。そのために、さまざまな灯台イベントに足を運び、リサーチを重ねているそうです。3月に企画しているバースデーパーティーの開催が厳しくなりそうな状況のなかでも「どうにかなる!」の精神で、理解と協力を呼びかけていくと宣言していました。

 

【灯台をイメージしたパフェを地元珈琲店と快活】

続いては、秋田県男鹿市・入道埼灯台について。発表者は男鹿市観光文化スポーツ部観光課の高橋真理香主事です。男鹿市では、入道埼灯台を活用した新たな商品の開発に注力しています。ターゲットはSNSを活用する若い世代で、入道埼灯台をイメージしたスイーツ「おがパフェ」の評価は上々。東北ディスティネーションキャンペーンの一環として開発・販売したものですが、継続販売と「おがパフェ」シリーズ化も検討しているそうです。

2016年に恋する灯台に制定されてから、愛の南京錠からヒントを得た縁結びグッズも販売しています。さらに、東北ディスティネーションキャンペーンの特別企画として、特別体験ができる旅行プラン「日の入り灯台参観&朝霧に濡れる雲昌寺あじさい拝観!」や「八望台〜戸賀湾トレッキングツアー!」も計画するなど、オリジナル感満載の取り組みを次々と紹介していました。

 

【灯台擬人化プロジェクトの進捗説明も】

自治体からの連携発表は以上です。このほか会合では、メディアからも注目度の高い新たなプロジェクト『燈の守り人』について。発表者は燈の守り人プロジェクト 製作委員会の大嶋麻沙美プロデューサーより各地域へ説明が行われました。『燈の守り人』は、灯台擬人化プロジェクト。事業のビジョンとしては、国内のあらゆる灯台の擬人化を通じて、灯台の町を聖地化するというものです。若年層にとって歴史への入り口は、ゲームや漫画、アニメといったコンテンツであることに触れ、灯台の“町”の物語を創出し、灯台への関心の入り口を作りたいそうです。現在、人気声優を起用した朗読×動画コンテンツ『幻想夜話』を公開中とのこと。

音声ガイドパートでは、灯台の解説ボイスなども聞くことができ、美術館で音声ガイドを聞いているような感覚が味わえるそうです。この朗読動画をはじめ、音声ガイドパートや、連携アイデア資料、ロゴやキャラクターなどのデザインデータや、キャラクターを使用したポスターなどは、自治体や企業が自由に使えるツールとして無料配布予定とのこと。グッズの制作や、バスのラッピング、コラボカフェの実施など、その用途の広がりはかなり期待できそうです。

 

【海と灯台プロジェクトのこれから】

最後の発表は、海と灯台プロジェクトの波房克典事務局長による「海と灯台プロジェクトの2021年度の展望」についてです。2016年スタートの「恋する灯台」プロジェクトの活動結果から、新たなプロジェクトとして立ち上がった「海と灯台プロジェクト」。恋する灯台の枠には収まりきれない、灯台の奥深さや歴史、文化的背景を世の中に広げていいきたい、世の中の関心を灯台に向けていくことを目指すプロジェクトです。認定自治体の取り組み300以上に上る新たな灯台の利活用事例が誕生したことに触れつつ、2021年は、「海と灯台ウィーク」や「海と灯台フォーラム」の実施を含めて、番組映像制作や、映像制作を起点とした地域連携事業、さらに大手声優事務所の青二プロダクション全面協力のもと100灯台の擬人化を目指す『燈の守り人』との連携事業の実施など、これまで以上に灯台を起点に海と人を結ぶコミュにティの多数実現を目指していることを明かしていました。

2021年も様々な驚きを提供してくれそうな「海と灯台プロジェクト」そして、各自治体の取り組みに興味を持った方は、ぜひ、こちらもチェックしてください。

取材:タナカシノブ