紀伊から丹後へ、南北の灯台が起終点!過酷な道に挑んだ「日本横断グレートトレイルin関西」【和歌山県串本町 潮岬灯台&京都府京丹後市 経ヶ岬灯台】
2021/05/245月1日から8日までの8日間に渡り開催された『日本横断グレート♡トレイルin関西』。和歌山県潮岬灯台から京都府丹後半島の経ヶ岬灯台までを山で繋ぐ、総距離500km超、累積標高25000m以上のハードな道に挑むイベントです。第1回(プレ)大会として開催された本企画立ち上げの経緯から、イベント中の様子、イベントを通じて感じた灯台の魅力について、主催の日本100マイルクラブの阪本真理子さんにお話を伺いました。
「コロナ禍で何か元気を取り戻すような企画を」と考えたことがきっかけだったそう。過去2回実践されたロードを繋ぐ旅感覚の企画とは違い、今回のイベントは、厳しい山岳地帯を取り込んだ厳しい山旅縦走(トレイルレース)だったとのこと。コースのスタート&ゴール地点を、和歌山県潮岬灯台、京都府丹後半島の経ヶ岬灯台と灯台を含むコースにした理由は、阪本さんの思い出が関わっていました。
ご両親が和歌山出身で、子どもの頃には潮岬灯台によく登っていたそう。さらに、京都府の経ヶ岬灯台は、京都のラン仲間から教えてもらった場所とのことでした。灯台から灯台までを一つの線で繋げたらおもしろいなとずっと思っていたそうです。
コースのイチオシポイントは灯台(太平洋)から灯台(日本海)を繋ぐことですが、熊野古道、高野山、京都伏見桃山城、大文字山、比叡山などを通過するコースには、世界遺産が点在していることも大きな魅力だと教えてくれました。参加者には、日本の超ウルトラランナーから、中には世界を駆け廻るアドベンチャーランナーという強者が全国から13名が集結。8日間に渡る今回の完走者TOP3は、愛知県、大阪府、富山県からの参加者だったそうです。
リタイアした参加者からは「苦しい中でも楽しめた」という声もあり、レース感覚というよりは、和気藹々とした雰囲気でのイベントになったようです。
今回はコロナ禍ということもあり、ボランティアの募集はかけずに、仲間の方たちがエイドをはじめとするサポートを担当してくれたとのこと。大会準備前の下見では、山の縦走では水や食料の調達が出来ないため、一度町や道の駅などに下っていくというコース設定に苦慮したそうです。
企画を思いついた2年ほど前から、分割での下見を繰り返し、山と山とをどう繋ぐのか、規約ルール作りなどにも多くの時間を費やしたことを明かした阪本さん。
スタートは夜だったため、真っ暗闇に明かりが潮岬灯台の灯りはとても幻想的だったと振り返ります。そしてゴール地点の経ヶ岬灯台は、トップ2名の到着が夕方だったこともあり、ちょうど夕日が落ちるくらいの時間で、日本海のロマンチックな海の輝きとともに、経ヶ岬灯台の美しさを堪能したそうです。その後、3人目のゴールは1日遅れの翌日の夜。20時半過ぎだったこともあり、灯台の灯りがクルクルと点灯して、前日ゴール時の夕方の景色とはまた違った灯台の魅力を感じられたとのこと。
子どもの頃から潮岬灯台でよく遊んでいたこともあり、灯台が大好きだったという阪本さん。大人になり、都会暮らしからロマンを求めていたのか、いつしか灯台と灯台を結ぶ街道を思いつき、過去にも何度かロードを実施。そして、今回のイベントでは、山脈をつなぐグレートトレイルへと発展できたことには、格別な思いがあるようでした。
今回のイベントを通じて、次回以降のアイデアの参考や、課題なども見えてきたという阪本さん。今回は万全な感染対策の中開催されたイベントでしたが、コロナの状況が落ち着いた暁には、新たな企画を提案したいと考えているそうです。
取材:タナカシノブ
画像提供:日本100マイルクラブ