2023年「海と灯台のまち会議」灯台の利活用に関するアイディア発表~津軽海峡フェリー

2023/07/13

一般社団法人 海洋文化創造フォーラムは2023年6月7日(水)、時事通信ホール(東京都)にて、灯台を観光振興や教育、地域活性化に利活用したい自治体・企業・団体とともに「海と灯台のまち会議」を開催いたしました。

この会議では、「海と灯台プロジェクト」の一環として、異業種・異分野の関係者から灯台の利活用に関するアイディア発表がありました。この記事では、津軽海峡フェリー株式会社営業部営業チーム課長代理の船橋由美さんによる、フェリーと新技術を組み合わせた灯台利活用策の要旨を掲載します。

※会議全体についてのイベントレポート(抄録)は、こちらの記事をご覧ください。

 

音声アプリを活用した船旅の新たな可能性

皆さまこんにちは。津軽海峡フェリーの船橋と申します。津軽海峡フェリーは、青森から函館、大間から函館という本州と北海道の最短距離をフェリーでつなぎ、物流・観光・生活に関わる重要な社会的インフラを担う企業です。スローガンは「海でつながる道がある。Ocean Road」です。津軽海峡エリアは、 古くは縄文時代から海を通じて人々が行き交う場所です。このエリアのさらなる発展に寄与したいと思い、日々船を運行しています。

本日は、フェリーと灯台に、ソニーが開発した音声アプリ「Locatone(ロケトーン)」を掛け合わせたアイディアについてお話しします。ロケトーンは、起動した状態で特定のスポットを訪れると、その場所に応じた音声や音楽が自動的に聞こえてくるアプリです。

当社はこのアプリを使い、2023年2月27日から、「縄文遺跡群を船と音でつなぐ」をテーマに、世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を楽しく巡る体験を提供しています。各地の縄文遺跡に近づくと、かわいい土偶のキャラクターが縄文文化について解説し、一緒に旅を楽しんでいるような感覚を楽しめます。キャラクターの声は人気声優が担当しており、スマホのカメラを利用してキャラクターとの記念撮影もできます。

 

光と音が織りなす灯台の物語を夜の船上で

今年10月2日、北海道室蘭市と青森県青森市の間に新しいフェリー航路が開通します。青森発は朝9時で室蘭着は15時45分、室蘭発は20時で真夜中の3時に青森に到着します。


今回この会議にお招きいただき、「室蘭-青森航路」は灯台を満喫できることに気が付きました。青森9時発の便では、晴れていれば10基の灯台を目視できます。室蘭20時発の便では、陸からでは確認できない「海から見る灯台の光」を鑑賞することができます。

灯台は光の色や点滅の間隔がそれぞれ異なるので、かつて船乗りはその光で灯台を判別し、自分の位置を確認していたと聞きました。この航路に乗れば、そんな船乗りの気分が味わえます。

さらに、先ほど紹介した新技術「ロケトーン」を活用すれば、灯台の光が見えてくると共に音声ガイドでその灯台にまつわる物語や解説を聞くことができるようになります。想像してみてください。夜、海に浮かぶ船の中で灯台の光を眺めながら、その灯台を作った人々の思いや灯台が果たしてきた役割についての話が聞けるのです。

 


さらに「海と灯台プロジェクト」と連携している灯台の擬人化プロジェクト「燈の守り人(あかりのもりびと)」とのコラボレーションはいかがでしょうか。この航路から見える灯台の中には、「燈の守り人」でキャラクター化されている灯台があります。有名な声優が演じていますので、ロケトーンの音声ガイドを担当していただければ、より魅力的なコンテンツになりそうです。

 

灯台に目を向ければ、フェリーは移動手段から体験空間に

フェリーに灯台をかけ合わせることで、昼と夜の全く違った灯台の魅力を知ることができ、単なる移動から特別な体験空間に変えることができます。船内の両サイドの窓を通じて、陸上では見られない灯台本来の「光を発する姿」をご覧いただけることがフェリーの強みであり、新たな可能性だと感じています。観光コンテンツとしてはもちろん、教育旅行の体験プログラムや地域の新たな魅力作りにもつながるのではないでしょうか。


今回、発表の機会を与えていただき、灯台について勉強したことで新しい発見がたくさんありました。新たな可能性のひとつとしてアイディアをご提供しましたが、灯台の利活用を考える皆さんの参考になれば幸いです。ありがとうございました。