本来の役目を終えても海の安全と豊漁を願う存在として生き続ける 【新潟県糸魚川市 能生港灯台】

2023/03/31

新潟県糸魚川市の能生港の沖に浮かぶ大きな岩礁「弁天岩」の上に立つ能生港灯台は、1951(昭和26)年に初点灯して以来60年以上にわたって、日本海を航行する船の海の道しるべとして重要な役割を担ってきた。現在はその役目を終え、観光灯台として存続している。海岸から弁天岩には赤い欄干の「曙橋」が架けられ、灯台の下には神社が併設されており、その鳥居を含めた景観はまるで一片の絵画のようだ。

弁天岩の厳島神社の本社である能生白山神社の総代、五十嵐保さんは「生まれたときから弁天岩には灯台があって、夜になるとピカッピカッと光っていました。夏になると橋が架かって弁天岩に行けるようになり、魚釣りもできるし、夕涼みもできる場所でした。上の灯台まで登って遊んだりもしました」と思い出を語る。

かつては夏の間しか行けなかった能生港灯台だが、1985(昭和60)年に曙橋が完成し、1年を通して渡れるようになった。

「永久橋になっていつでも行けるようになって、2016(平成28)年には『恋する灯台』にも認定されて有名になったので、若い人もたくさん訪れてお参りするようになったと思います」(五十嵐さん)

弁天岩の厳島神社には海の守り神である「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」が祀られている。五十嵐さんは「灯台も厳島神社も海の安全と豊漁を願うということで、地域住民の方々にも協力してもらっていますので、一緒に守っていけたらな、と思っています」と、海とともにある地域の生活に溶け込んできた灯台と神社に優しいまなざしを向ける。これもまた、これからの時代における灯台のあり方の1つと言えるのではないだろうか。

 

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