映画や歌にもその名が刻まれてきた、地元の人々に勇気を与える存在 【福島県いわき市 塩屋埼灯台】

2023/03/31

1899(明治32)年に初点灯した塩屋埼灯台は、全国に16基ある「のぼれる灯台」の1つ。1956(昭和31)年に雑誌に掲載された、当時の塩屋埼灯台長であった田中績(いさお)の夫人・きよの手記が、翌年公開された映画『喜びも悲しみも幾年月』の原点となっており、灯台のたもとには昭和の大歌手、美空ひばりが歌った『みだれ髪』の歌碑も建っている。

そんな塩屋埼灯台の魅力をより多くの人に伝えようと、2022年10月30日には「とよまの灯台文化祭」が開催された。主催した「とよまの灯台倶楽部」の代表、小野陽洋さんは「幼い頃からこの灯台を眺めて育ってきて、雨の日も風の日もまっすぐ力強く立つ姿がとても格好よく見えて、勇気付けられています」と、塩屋埼灯台への思いを語る。ちなみに、イベントや団体の名前にもなっている「とよまの」とは、塩屋埼灯台が地元では「豊間の灯台」として親しまれてきたことに由来している。

さらに、イベントについて小野さんは「11月1日の灯台記念日に合わせての開催ですが、単純に灯台だけを眺めるのではなく、灯台に登ってくる途中の道のりや、灯台の歴史などにも触れてもらえたらうれしいです」と、様々な楽しみ方を提案する。

「とよまの灯台倶楽部」は、灯台のレンズ磨きや花壇の整備、歴史の調査などの活動を通して、塩屋埼灯台の魅力を発信している。

イベントでは、灯台から見える山々や周辺に生息する動物・昆虫などの紹介や、灯台の歴史を伝える「灯台ヒストリートーク」などが行われ、県内外から多くの人が訪れていた。

「のぼれる灯台」16基を巡っているという千葉県から来た観光客が「すごくシンボル的で景色がいいなと思いました」との感想を述べたように、塩屋埼灯台はいわき市のシンボルとして在り続けている。小野さんは「色々な活動を季節ごとにやってきましたが、メンバーひとりひとりが輝ける活動をしていく中で、灯台そのものもより輝きを増していってくれるといいなと思っています」と、今後の活動に対してもますます意欲を燃やしていた。

 

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