130メートルの高さから三陸海岸沖を行く船を見守る北緯40度線上の灯台 【岩手県下閉伊郡普代村 陸中黒埼灯台】
2023/03/31岩手県北東部、三陸海岸黒崎のおよそ130メートルの断崖の上に立つ陸中黒埼灯台は、1947(昭和22)年に「譜代灯柱」として設置され、以後「普代灯台」を経て1966(昭和41)年に現在の名前となった。北緯40度線上の灯台として、日本海側の秋田県男鹿半島の北端に位置する入道埼灯台と対をなし、1998(平成10)年に「日本の灯台50選」に選出されたほか、2019(令和元)年には「恋する灯台」にも認定されている。海面からの灯りの高さは東北地方の灯台では随一で、紺碧の太平洋と青い空、そして緑の木々に映える真っ白な姿は、凜としてたたずむ優美な気品をも感じさせる。
陸中黒埼灯台が2022年に75周年を迎えたことを記念し、10月16日には灯台内部の一般公開が行われた。灯台の近くにある国民宿舎くろさき荘に勤め、地元の出身でもある道下孝さんは「灯台は海に対しての役割も大きいですが、地域の方が憩いの場として訪れることができる大事な存在です」と、地域住民にとって灯台はなくてはならないものだと話す。
75周年を迎えるにあたって関係者によって塗装作業が行われ、より美しく生まれ変わった陸中黒埼灯台について、道下さんは「普代村の中の黒崎、黒崎の中の灯台、その全部を含めて少しでも多くの方に知って、お越しいただきたいと思います。灯台とともに普代村のことも知っていただければ」と、地元で観光業に携わる者としての希望を語る。
周辺には“青の国”と称される普代村の雄大な景色が見られる「黒崎展望台」や、幸せを呼ぶと言われる縁結びスポット「カリヨンの鐘」、全国でも珍しい直接海に流れ落ちる落差150メートルの滝「アンモ浦の滝」など、風光明媚な土地ならではの観光名所も揃っている。そんな普代村で75年もの歴史を過ごしてきた陸中黒埼灯台は、これからも海の安全を守る村のシンボルとして、変わらず灯りを点し続けることだろう。
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