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映画『いざなぎ暮れた。』毎熊克哉×武田梨奈インタビュー!訳ありカップルが「恋する灯台」佇む美保関に弾丸旅行!?【島根県松江市 美保関灯台】

2020/03/20

モナコ国際映画祭をはじめ12カ国26の映画祭でベスト作品賞を含む10タイトルを受賞(※2020年1月時点)という快挙を達成の映画『いざなぎ暮れた。』(3月20日[祝]よりテアトル新宿にて公開)。神様に一番近い港町・美保関町へ弾丸旅行にやってきた訳ありカップル、ノボルとノリコを演じた毎熊克哉さん、武田梨奈さんのお二人にインタビュー! モナコ映画祭の様子や撮影時のエピソード、舞台となった美保関町、さらに「恋する灯台」美保関灯台の印象、お二人の灯台の思い出について伺いました。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――毎熊さん、モナコ国際映画祭最優秀主演男優賞おめでとうございます。モナコでは2冠受賞を達成していますが、海外での高い評価をどう受け止めていますか?

毎熊克哉さん(以下、毎熊) 島根県の小さな町で撮った映画がまさかモナコで上映されて「おーー!」と反応したと思うととても不思議な気持ちです。撮影中はこんな風に世に出て行く1本になるとは思っていなかったので。僕は現地に行けず、モナコでの反応は武田さんから聞いただけなので、現実味がないというのが正直なところですね。でも、モナコまで届いたと思うとうれしい気持ちになります。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

武田梨奈さん(以下、武田) (モナコを訪れて)割とアットホームな映画祭だったので、発表のときは緊張よりもあたたかい雰囲気で盛り上がっている印象でした。上映後の反応から、私と監督は「最優秀(主演男優賞)は毎熊さんだな」と思っていたので、名前を呼ばれるつもりで待っていました(笑)。驚きよりもうれしさでいっぱいでした。朝早かったので申し訳なかったのですが、すぐに伝えたかったので監督と一緒にテレビ電話で報告しました!

――毎熊さんは受賞について「武田さんと二人で獲った賞です」とおっしゃっていましたよね?

毎熊 本当にそう思っています。ほぼ二人きりでずっといろいろなシーンを獲っていたので、心からそう思っています。

武田 そう言っていただいてとてもうれしいです。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――モナコの方は、美保関の印象をどのように捉えていたのでしょうか? 

武田 映画を観た方から直接お話を伺う機会はなかったのですが、私自身、舞台挨拶のときにモナコの印象を訊かれて「美保関に似ている部分があります」と答えました。モナコも割と小さい町で、色合いとかは全く違うのですが自分の目と体で体感できる町というのは似ていると思いました。そんなコメントをしたら、みなさんうなずいていたので、同じように感じた方も多かったのかもしれません。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――美保関ロケで感じた町の印象を教えてください。

毎熊 僕は広島県福山市の出身で、美保関から割と近いところが地元なのですが、小さい町でも駅の周りとか結構変化があります。美保関はいい意味で時が止まっている感じが素敵だと思いました。人が生きていくためのものはあるけど、いわゆる今の文明というかトレンドのようなものはない。ずっと変わらない形でそこにあるってすごいことだと思うし、変わらないでほしいと思います。

武田 今、東京に住んでいて感じるのは、町が変わることが多いということです。生まれ育った神奈川もそうなのですが、新しいお店ができたり、逆にお店がなくなっていったり、冬になったらイルミネーションでキラキラしたり、と町の雰囲気や表情の変化が激しいなと。でも、美保関はいつ訪れても変わらない。いつでも同じ空気を吸える場所という印象でとても魅力的だと思いました。

――劇中、ノボルの「髪を切るときは隣町に行く」というセリフにも町の雰囲気がよく表れていますよね。

毎熊 あのシーンを現地で演じたら、「見れば分かるだろ? どこに店があるんだよ」という、リハーサルの時にはなかった説得力がグッと出てきた気がしました。

武田 それ、感じました!

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――そんな町にダッジ ・チャレンジャー(アメリカのマッスルカー)に乗って派手めなファッションの訳ありカップルがやってくるわけですからね。

毎熊 ギャップがすごいですよね。ダッジもメインキャストのひとりです(笑)。うまくもないのに、ずっと運転していました。左ハンドルで質感も違うし、重かったです。美保関灯台へ向かうシーンの撮影でもずっと運転していましたね。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――あの美しい景色を楽しむ余裕はなかったのでしょうか?

毎熊 灯台にたどり着くまでの景色は堪能しました。海が開けている感じとか綺麗でしたね。灯台は結構高い場所にあったので、だいぶ運転しましたね。残念なことに、灯台での撮影時には雨が降っていたので、作中に登場するあの景色は見えませんでしたが……。灯台のシーンは僕だけだったので、ロマンチックな場所として登場するのですが、二人では行ってないんです。

武田 毎熊さんが美保関灯台で撮影している間、私はお土産を買いに行っていました(笑)。お醤油とかお酒とか買っていましたね、ごめんなさい(笑)。

(上空から見た美保関灯台周辺) (c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

毎熊 天気もあまり良くなかったので、その方が良かったと思います!

武田 「時間ができた、今だ!」とウキウキとお買い物していました。

――作中でも「何か食べたい!」とおねだりしていましたからね(笑)。美保関のおいしいものは食べましたか?

武田 お魚がおいしかったです。旅館の方が用意してくださった夜ご飯がとてもおいしくて。お醤油は甘みのある感じで新鮮でした。

毎熊 おいしかったですよね。お醤油は九州のお醤油に似ている感じでしたね。甘い感じのお醤油でおいしかったですし、ポン酢や出汁醤油などもあって堪能しました。

――美保関灯台でノボルが転倒するシーンからの流れ、最高でした! 灯台の印象や撮影時のエピソードを教えてください。

毎熊 下から見るとそうでもないけれど、近くにいるとすごく大きく感じました。天気がコロコロ変わるのが印象的でした。映画を観ていると「さっきまで雨降ってなかった?」「あれ?また雨降ってる?」と感じると思います。これは、撮影した順番でうまく繋がっていないとかではないんです。山陰の天気は晴れたり雨降ったり変化が激しいそうで、地面が濡れているのに天気は快晴なこともある。美保関の天気はそういうものだと、地元の人に教えていただきました。

 

(「恋する灯台」美保関灯台) (c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――美保関灯台は「恋する灯台」に認定されています。灯台に抱いているイメージや灯台にまつわる思い出はありますか?

武田 週末には家族でドライブに行くことが多かったのですが、灯台に行くこともとても多かったです。駐車場のおじちゃんとかに「今日は曇っているからよく見えなくて残念だったね」と言われることもありました。灯台からの景色は曇ってて見えないのも醍醐味だと思っていました。下から見るのと、上から見るのとでは景色も全然違うし、雲との距離も違ったりしておもしろいですよね。

――海外では「泊まれる灯台」があって、朝夕の景色を眺めたり、灯台と周辺の観光地を結んで楽しんむ…なんてこともできるようです。

武田 それ、すごくいいですね。行きたいです!

(写真右が和風家屋の美保関郵便局。劇中何度も登場) (c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

毎熊 僕の灯台の思い出は撮影です。自分が出演していないシーンだけど、作中に灯台が登場するという作品があったなと思い出しました。この映画では、僕が必死なシーンで灯台が登場しますが、灯台はロマンチックな場所というイメージがあります。灯台にまつわるロマンチックなジンクスを教えてもらうシーンですが、僕は両親の思い出の写真を片手に郵便局の口座の暗証番号ばかり考えていますから(笑)。

 

――ノボルのお婆ちゃんのお家のロケ地、地元の民家も素敵でした。

武田 セットかと思うくらい素敵なお家でした。壁から床まで作りものではできないようなお家だったので、すごく興奮しました(笑)。大切にされている家という印象を受けましたね。

(c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

――美保関町の印象を教えてください。

毎熊 「青石畳通り」という場所がすごくかっこよくてよかったです。狭い民家の隙間にあるのに、石が綺麗に敷き詰めてあって……。少し暗くなった時間に歩いたのですが、すごくいい雰囲気でした。朝の時間帯もかっこいいって思いましたね。

(青石畳通りにある太鼓醤油店。劇中では「出雲醤油」として登場) (c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

武田 横浜出身で海が近いところで育ちました。私がよく行く海はペットボトルなどが浮いているのが当たり前だったんですよね。でも、美保関は町もそうですが、海にもゴミが落ちていないんです。すごく綺麗な海だと思いました。透明度とかそういうのではなく、大切にされているという印象を受けました。

(美保関・福浦海沿いを歩くノリコ)  (c)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会

毎熊 ゴミは本当に見ませんでしたね。綺麗でした。今、こうやって取材を受けているといろいろ思い出してきます。いいロケだったなと。

―—そんな素敵な現場で撮られた映画のPRを最後にお願いします。

武田 作りものでは作れないところで撮影させていただけたことは、演じる側としてはとても大きいことだと思っています。お婆ちゃんのお家や郵便局のシーンでのポストなど、その土地で実際にあるものを見て感じて出てきたセリフなので、単なるお芝居でのセリフとは違っていると思います。美保関にいるだけで、ノリコとしての気持ちが湧き上がってきました。美保関だからこそできたことだと、ありがたく思っています。

毎熊 できれば、地図を片手に観ていただきたいと思います。どの場所で撮るのかによって、作品の質感が出たりしますよね。美保関でしか撮れない何かが映っていると思います。地方映画として撮影した良さが出ている作品です。よそもんがやってきて地方映画を撮りましたが、作中にも美保関によそもんがやってきます。テンポも良くてとても観やすい作品なので、よそもんとして美保関に初めてやってきたような気持ちで楽しんでもらえればと思います。

 

(取材・文・撮影/タナカシノブ 構成/サンクレイオ翼)