「&」マークでつながる小島のペア灯台 【神奈川県三浦市 城ヶ島灯台・安房埼灯台】

2018/11/02

三浦半島の南に浮かぶ、神奈川県最大の自然島、城ヶ島。古くは源頼朝がたびたび訪れたという記録も残る、歴史ある景勝地です。 最大の島、と言っても周囲は4kmほどで、歩いても1周できるほどのサイズ。なのに、この島には灯台が2基も設けられています。西側の高台に建つ「城ヶ島灯台」と、東の突端の磯にある「安房埼灯台」。もちろん、2基とも現役です。 城ヶ島灯台は、約30mの高さから30km先までを照らし、沖合を行く船に陸の存在を知らせる「海の標識」。浦賀水道から東京湾へ出入りする国内外の船の安全のために、明治3年から稼働し続けています。   安房埼灯台は、90年近く後の昭和37年生まれ。島の北側にある城ヶ島漁港へ出入りする漁船のために、地元の漁業関係者の要望を受けて建設されたといいます。ゴツゴツした磯の上に建っているため、周囲の足元を照らす照射灯も備えているそうです。   同じ島の上に、しかも2kmほどしか離れていない地点に仲良く建つ2つの灯台。恋人たちに一度は訪ねてほしい、全国でも珍しい「ペア灯台」というわけです。 そこで地元の観光協会では、2つの灯台の間に面白いモニュメントを造りました。 島の南側、好天の日には房総半島や伊豆大島も望める「みはらし広場」の一角に、「&」の形が背中合わせで寄り添っているような、かわいらしいペアのモニュメント。これ以上説明の必要はないくらい、ピンとくるデザインですね。 ちなみに、大きな緑の「&」は安房埼灯台の方を、小さなピンクの「&」は城ケ島灯台の方を向いています。それぞれの「&」の隙間から顔を出し、並んでツーショットを撮るカップルが多いとか。   さて、2つの灯台散策の楽しみ方です。 城ケ島灯台は高台にあるため、見晴らしは最高。天気に恵まれれば、海と富士山、夕日が同時に鑑賞できるという、なかなかないロケーション。黄昏時に訪れて、ロマンチックな気分にひたってください。もちろん、昼間の富士山も素敵です。   ちなみに灯台のすぐ下には商店街があり、マグロ料理をはじめ春先の生シラスなど、さまざまな海の幸が楽しめます。「マグロ入りマドレーヌ」という珍品スイーツもあるとか。さらに、海辺にはダイビングセンターや海上イケス釣り堀があり、透明度20mの海に潜ったり、釣りを楽しんだりできます。 城ヶ島灯台は、地元のイベントに合わせてたびたび無料公開もされています。たとえば1月から2月にかけて行われる「水仙まつり」や、9月に開催される「星降る町の映画祭」など。予定をチェックして、灯台上部からの眺めを楽しみに行くのもいいですね。   一方、東の突端に位置する安房埼灯台では、朝日の鑑賞がおすすめ。城ケ島公園展望台からは、灯台のはるか向こうから昇る朝日を眺めることができます。朝日と海、そして時折見られる漁船の景色は、旅情そそる癒しの風景。初日の出の名所にもなっています。 灯台周辺では磯遊びや磯釣りが楽しめます。磯の岩は波や風によって侵食され、動物や魚など面白い形に見える岩も。デートだけでなく、子供連れになっても楽しそうですね。   2つの灯台をつなぐハイキングコースも整備されています。前述の「&」形のモニュメントがある「見晴らし広場」や、島に生息するウミウを観察できる展望台、アーチ状の奇岩「馬の背洞門」など、豊かな自然を体感しながら歩ける全長約3.5kmのコースです。 などなど、ちょっと紹介するだけで、灯台を中心にバラエティに富んだ見どころの数々。さすが鎌倉時代からの景勝地ですね。お二人で、ぜひどうぞ。