灯台現役引退後も、デートの聖地として人気 【新潟県糸魚川市 能生港灯台】

2018/10/30

「フォッサマグナ」という言葉とともに、中学校の地理の教科書に出てくる新潟県糸魚川市。その中心部から国道8号線にのり、日本海の眺めを楽しみながら東にドライブすると、島というには小さい、でも岩というには大きすぎるものが、海にぽっかり浮かんでいるのが見えてきます。よく見ると、そのてっぺんには灯台が。 巨大な岩は、約300万年前とも言われる昔に海底火山の噴火によって形作られた岩礁の一部「弁天岩」。そしてそこに建っているのは、2016年に「恋する灯台」に認定された能生港灯台です。 噴火によって形成された岩礁域は、多様な魚が集まる質の良い漁場となりました。そうした地の利を活かした能生港は、江戸期には北前船の寄港地として栄えたと言います。 そうした歴史を伝えるのが、弁天岩に設けられた、海の守り神をまつる厳島神社。1951年には能生港灯台も設置され、海とともに生きる能生の町を支えてきました。 現在は、能生港灯台はその役目を終え、海を照らすことはもうありません。ですが、2016年に「恋する灯台」に認定されたことから縁結びのスポットとして注目されるようになり、地元の人々の熱い要望もあって保存が決定。街のシンボル、そして恋人たちのシンボルとして「第二の人生」をスタートしました。 海岸から弁天岩に架けられた朱色の古風な「曙橋」を二人で渡るのは、ちょっとした「恋の道行き」気分。弁天さまだけに、恋愛運に加えて金運もアップするかも? ちなみに夕日の鑑賞スポットとしてもおすすめ。陸地から少し離れた岩礁の上で、二人で眺める夕日は、きっと格別です。さらには、弁天岩には竜宮城への入口があるという伝説も。いろんなジャンルのファンを引き寄せそうなポテンシャルを感じます。 弁天岩を遠くで眺めるのもなかなか良い風情で、海辺からのちょうど良い鑑賞スポットに、「恋する灯台」モニュメントが設置されています。   さて、能生港灯台の盛り上げにがんばっている地元の商工会では、このたび「恋愛成就の絵馬」を作成しました。 地元産の越後杉を使ったというこの絵馬、縁結びの願いを込めてハート形をかたどりながらも、ちょっと不思議なカーブが入っていますね。実はこれ、「ヒスイの勾玉」を2つ重ねたハート形なのだそうです。 というのも、能生港灯台がある糸魚川地域は、実は世界的にも珍しいヒスイの産地。5千年前以上の縄文時代に作られた勾玉などが、市内にある遺跡から出土したりしています。その形を借りることで、絵馬にも特別なパワーが宿っているかもしれませんね。 この「恋する灯台」絵馬は、灯台から徒歩10分ほどの「道の駅 マリンドリーム能生」をはじめ、観光施設などで販売中(500円)。販売場所は、宿泊施設や飲食店などで配布中の「恋する灯台 まち歩きガイドマップ」に掲載されています。 二人の願い事を書いたら、「恋する灯台」モニュメントの横に設けられた祠(ほこら)にかけましょう。こうして奉納された絵馬は年に1度、灯台近くの「能生白山神社」でお焚き上げをしていただくそうです。こちらも灯台のすぐ近くにあり、由来は千年以上前の飛鳥・奈良時代にもさかのぼるという歴史ある神社。ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。   ところで、弁天岩を望む「弁天浜」は浅瀬の海水浴場になっており、夏場には家族づれの人気スポットに。そして毎年8月に開かれる、弁天岩をバックにした「能生ふるさと海上花火大会」は、1万人ほどの人でにぎわう一大イベント。昨年は「恋する灯台」にちなんだナイアガラ型の仕掛け花火なども登場しました。今後もこうした取り組みをたくさん行いたいという話。楽しみです。 前述の「道の駅」にもぜひ立ち寄ってみてください。館内にあり日本有数のベニズワイガニ直売所「かに屋横丁」では、1・2月の禁漁期間を除いた時期、能生漁港に水揚げされた新鮮なカニを味わうことができます。お土産品コーナーでは、ヒスイのアクセサリーの販売も。ご予算が合えば、プレゼントにいかがでしょう。