灯台への愛を形に。「恋する灯台」へ誘う色鮮やかな手作り看板【京都府京丹後市 経ヶ岬灯台】

2019/10/25

京都の観光名所といえば、桜や紅葉、神社仏閣など、山の近辺に多いイメージが強いかもしれませんが、「経ヶ岬(きょうがみさき)灯台」は京都が秘める「海」の魅力も感じられる場所です。

京都府北部に伸びる丹後半島。若狭湾を囲むように福井県と接するこの半島の北端にある岬が「経ヶ岬」です。経ヶ岬は日本三景の天橋立を含む「丹後天橋立大江山国定公園」にも含まれています。

岬の最高地点は海抜約200mで、経ヶ岬灯台が建つのもおよそ140mの高さの地点。京都百景にも選ばれた景勝地です。

全国でも6カ所にしかない「第一等フレネルレンズ」が採用されている灯台で、強く明るい光を放つのが特徴。経ヶ岬灯台の光はなんと55㎞先にまで届くのだとか。

明治31(1898)年の初点灯以来、日本海を行き交う船の頼りとなってきた経ヶ岬灯台は、2018年に「恋する灯台」に認定されました。

灯台へは最寄りの駐車場から約400メートルの遊歩道を歩いて向かいます。高い段差もあるので、動きやすい服装や靴で行くのがおすすめとのこと。

2019年8月には「灯台の近くまで行きたいけれど、遊歩道への入り口がわからない」という観光客の声を受けて、市内の有志による案内板作りが行われました。

参加したのは経ヶ岬灯台保存会の有志7名と、京都市内の大学生22名。まさに「灯台に恋した」みなさんが集まりました。

タテ1.3×ヨコ約3.8mの板に、経ヶ岬灯台をモチーフにしたペイントを施していきます。

デザイン画にそって、一筆ずつ丁寧にペンキを塗っていきます。

観光客をナビゲートするための案内板とあって、虹をあしらうなど色彩の鮮やかさも意識されています。

夕方ごろには無事に案内板が完成。

美しい海に白い灯台、案内板の右上部分には経ヶ岬周辺で生息が確認されているハヤブサの姿も。中央には経ヶ岬灯台のシンボルともいうべきフレネルレンズもしっかりとデザインされています。なんとほほ笑ましく、そして「愛」があふれる案内板なのでしょう!

そんな案内板のデザインを手がけたのは地域で農業を営む女性の方だそうです。灯台を大切に思う、灯台に親しむ市民の手で、こんなに素晴らしい「恋する灯台」への案内板が誕生しました。

駐車場から遊歩道へ続く道のそばに、大きく色鮮やかな案内板が設置されました。その先に待つ経ヶ岬の灯台の姿への期待も高まりそう!

経ヶ岬は先端部分の海岸線に広がる特殊な地形「柱状節理」も特徴のひとつで、山陰海岸ジオパークにも含まれています。

紅葉見物やお寺めぐりもいいけれど、カップルで京都北部の「海」が秘める魅力に触れ、同時に互いの思いにも深く触れる…。径ヶ岬灯台と灯台愛あふれる案内板は、きっと「恋の道しるべ」にもなってくれるでしょう。