関東の灯台をめぐる!オリジナル知識紀行番組「中村獅童の灯台見聞録」収録レポート【後編】

2021/11/18

11月1日が「灯台記念日」であることにちなみ、日本財団と海上保安庁で設定した「海と灯台ウィーク」(11月1日~8日)の関連企画として制作された、オリジナル知識紀行番組「中村獅童の灯台見聞録~灯台が照らし続けた海と日本人の記憶~」。

俳優・中村獅童さんが、フリーアナウンサー・笠井信輔さんと共に「灯台」を巡り、「近代史」「建築」「地域とのつながり」など、灯台にまつわる歴史を探訪します。 今回は、10月31日(日)16時~17時にBSテレ東にて放映された同番組の収録レポート【後編】をお届けします。ぜひ、番組のダイジェスト映像【後編】とあわせてお楽しみください。

 

山本先生に別れを告げ、二人は「なぜ、灯台の光は遠くまで届くのか」という新たな見聞テーマの答えを求めて、西洋式灯台として日本で2番目に初点灯された、千葉県南房総市にある「野島埼灯台」へ。そこで二人を待っていたのは、第三管区海上保安庁 千葉海上保安部次長の関貴之さん。海の安全には欠かせない航路標識のひとつでもある灯台を海上保安庁が管理していることを関さんから聞き、獅童さんは驚きの表情を浮かべます。

一方、関さんは、笠井さんが日本全国3300ヵ所に灯台があると知っていたことに感心した様子でしたが、笠井さんが「私たち、灯台番組をやっているんです!」と胸を張ると、獅童さんが大爆笑する場面もありました。

関さんの案内で、野島埼灯台に併設されている展示資料館「きらりん館」を訪れた獅童さんと笠井さん。そこで、1822年に開発されて以降、今も灯台の生命線として使用されているフレネルレンズを見学。その後、同レンズがどのように使われているのかを確認しに、野島埼灯台のレンズ室へ特別に許可を得て足を踏み入れます。

フレネルレンズの中心部にあるのは、メタルハライドランプと呼ばれる小さな電球。100Vという電源で点灯する電球が、表面に細かく削ることで全ての光が同方向へ直進するようにした薄くて軽いレンズと、その上下にプリズムを設置することで、250Wの電球が約31Km遠くまで届く強力な光へと変化するのです。

その後、レンズが回り出し、灯台が点灯する瞬間を見学する獅童さんと笠井さん。各灯台によって、光り方や色、光が回転する周期の秒数などがそれぞれ異なることを関さんから聞いた獅童さんは「灯台って面白いな」とつぶやきながら、笑顔を浮かべていました。

この後も「147年立ち続ける灯台の秘密を探れ!!」というテーマのもと、「犬吠埼灯台」を訪れ、外川漁協の漁師・金野一夫さんや見学できる灯台での業務などを行う「燈光会」の犬吠埼支所 支所長の羽根田真弓さん、そして東京工業大学名誉教授・藤岡洋保先生からお話を聞き、その歴史と役割について見聞を深めた二人。

三つの歴史ある灯台をめぐった後、獅童さんは「灯台の見方が僕自身も変わったし、『ぜひ残して欲しいな』という気持ちになりますね。昔の人の知恵と魂を今回感じました」と感想を述べました。そして笠井さんも「今回の取材をはじめるまでは『灯台は一つの海の安全のためのもの』だと思っていたんですけど、心の問題なのかな、とすごく感じました」と語ると、獅童さんは大きく頷きながら共感を示していました。

海で働き、港へと戻ってくる人々を安全に導くための光を灯し続ける灯台。視聴者にとっても、二人による灯台めぐりの旅は、先人が守り続けたその灯りを後世に伝えることの大切さを再発見する機会となったことでしょう。

取材・写真:中村実香