「灯台は、省エネの先駆者」10数基の保守管理を務めた海上保安官が挑んだ、灯台の自然エネルギー活用

2022/03/28


灯台と私たちの結びつきを再認識する期間「海と灯台ウィーク」(2021年度は11月1日~8日実施)に際し、海と灯台プロジェクトでは全国各地の灯台に縁ある方々の話を伺い「海と灯台学」を編纂する活動を実施されました。その取材から、今回は海上保安庁 第六管区海上保安本部・備讃瀬戸海上交通センターの四宮章公さんに伺った話をお届けします。

―灯台に関心・興味を持ったきっかけを教えてください。
四宮「海上保安学校にて2年間、灯台で使用する機器の取り扱いに関してみっちりと教え込まれました。初任地は室戸岬航路標識事務所(現在は廃止され高知海上保安部が管轄)で、室戸岬灯台(高知県室戸市)ほか10数基の灯台等の保守管理を行っていました。その後、灯台で使用する機器の設計や発注業務に携わるようになり、歴史も知って関心や興味が少しずつ深まっていきました」


―灯台に関して詳しいと思う分野を教えてください。
四宮「灯台で使用する、電源を含む機器に関することです。灯台は人里から離れて建設されることが多く、安定した電源を確保することが大きな課題で、早くから自然エネルギーの活用に力を入れてきました。1951年(昭和26年)には風力発電装置が山口県下関市の蓋井島灯台に設置され、1959年(昭和34年)に太陽電池装置、1966年(昭和41年)に波力発電装置が採用されました(現在は維持費などの関係から一部を除き使用されず)。自然エネルギーの活用にあたって、徹底して負荷となる機器の省エネ化に取り組んできました。こうしたことから、灯台は『省エネの先駆者』とも言えると思います」

―未来の灯台はどのような存在になり得ると思いますか?
四宮「現在は複数の灯台が重要文化財に指定されており、鍋島灯台も、経済産業省により『近代化産業遺跡群』に認定されています。灯台は、地元のシンボルとして歴史を伝える観光資源になり得ると思います」


―今後、灯台を地元で活用するためにどのようなことが必要だと思いますか?
四宮「多くの方に灯台の魅力を知ってもらうために、灯台が造られた歴史的な背景や灯台を造るための技術などの情報発信に加え、実際に灯台に触れてもらう機会を創出する必要があります。地元の小中学校に、灯台についてレクチャーする出前講座を実施するのもいいですね。そうした中から新たな『灯台愛好家』の裾野が広がると思います」

四宮さんのインタビュー動画もあわせてご覧ください。