2023年「海と灯台のまち会議」灯台の利活用に関する事例発表~鳥取県長尾鼻灯台

2023/06/22

一般社団法人 海洋文化創造フォーラムは2023年6月7日(水)、時事通信ホール(東京都)にて、灯台を観光振興や教育、地域活性化に利活用したい自治体・企業・団体とともに「海と灯台のまち会議」を開催いたしました。

この会議では、「海と灯台プロジェクト」の一環として灯台の利活用を推進する全国5地域の関係者が登壇し、それぞれの地域での取り組みや成果などを発表しました。この記事では、鳥取県立青谷高等学校卒業生の井口日翔(はると)さんによる、鳥取県鳥取市「長尾鼻灯台」の利活用事例発表の要旨を掲載します。
 
※会議全体についてのイベントレポート(抄録)は、こちらの記事をご覧ください。

授業で灯台を学び、灯台を通じて地域を再発見

皆さんこんにちは。鳥取短期大学1年の井口と申します。「高校の授業で灯台を学び、灯台を通じて地域を再発見」をテーマに発表します。

私は鳥取県立青谷高校で地域学の科目「青谷学」を受講し、青谷町の歴史や文化について、そして長尾鼻灯台の役割や魅力について学びました。今日は授業を通して感じたことをお話ししたいと思います。初めに、授業の様子を紹介した動画をご覧ください。

※以下、動画書き起こし

(動画ナレーション)鳥取県立青谷高校では、鳥取市青谷町の長尾鼻灯台を中心に地域の魅力を発信する取り組みを行っています。「海と灯台プロジェクト」の一環で、2022年9月にスタート。長尾鼻灯台や地域の歴史、弥生文化を調査してオリジナルストーリーを作り、漫画化する取り組みです。この日は授業最終日で、シナリオ作りを行いました。

(ナレ)漫画制作のサポートをする鳥取市在住のイラストレーター、伊吹春香さんとシナリオライターのバニラさんを講師に招き、意見を出し合いました。

高校生「若い人が『えっ、ここ行きたい』となるような……」

(ナレ)青谷高校が授業で行っているサーフィンだったり、地元の人しか知らない食べ物だったり。皆さんの意見がストーリーの要素として加わり、形になっていきました。「青谷に転校してきた1人の女子高校生が、当初は『何もないところ』と思っていたが、神社のこま犬に案内され、海や灯台、歴史や文化を知り、青谷を好きになる……」というストーリーです。


伊吹さん「純粋に青谷はとても景色が良く、エモい映えスポットがいっぱいある場所だということを漫画を通して知ってもらえたらうれしいです。(女子高校生と)すごくリアルな女子トークができたりして楽しかったです」

高校生「青谷は夕日が出ている時が特に一番きれい」「漫画で灯台の魅力を伝えたいです」

※動画書きおこし終わり


ここであらためて、長尾鼻灯台がある青谷町の位置をご確認ください。鳥取市の中心地や鳥取砂丘から車で西に40分ほど、海沿いを進んだところに日本海にせり出した岬、長尾鼻があります。その長尾鼻にあるのが長尾鼻灯台です。


「青谷学」で町の歴史と海のつながりを知る

青谷学の授業は全部で9回ありました。その内容をいくつかご紹介します。


鳥取市は2022年、市内にある史跡「青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡」で出土した頭蓋骨から顔を復元した「青谷弥生人」にどれだけ似ているかを競う「青谷弥生人そっくりさんグランプリ」で全国的にも話題になりました。そんな背景を踏まえ、とっとり弥生の王国推進課の担当者に「青谷と弥生文化と長尾鼻灯台」のテーマで講義をしていただきました。この講義を通して、青谷町に弥生時代の遺跡が多くあるのは、海を通じて大陸と交流が行われ、集落が作られたからだという歴史を知ることができました。

鳥取市は、2018年に北前船の寄港地として日本遺産に認定されたまちでもあります。青谷町にもかつては北前船の荷を扱う廻船問屋があり、海産物などが各地に運ばれていきました。そんな歴史に触れるため、鳥取市職員と青谷町内を歩いて船主の集落跡や荷運びの道を見学し、江戸時代に海を通じて各地との文化交流が盛んに行われていたことを学びました。


(写真提供:海と日本PROJECT in とっとり
授業の一環として、実際に灯台に登ることもできました。海上保安庁職員から長尾鼻灯台の歴史や役割を教えてもらい、初点灯した昭和2年からずっとこの海を見守り続けてきたことを知りました。灯台の上から海を眺めると、青谷町の歴史と文化がこの海から来たことをあらためて強く感じました。そして、海と陸をつなぐ役割をしている灯台は、それぞれの地域と海とのつながりの象徴であるとも思うようになりました。

長尾鼻灯台にまつわる海の物語を漫画を通して多くの人に

これらの授業で学んだことを地元の人たちに分かりやすく伝えるため、鳥取市在住のイラストレーター・伊吹春香さんと協力して「青谷灯台物語」の漫画を作りました。青谷町の海のシンボルである長尾鼻灯台について、漫画を通して多くの人に知ってもらえたらと思っています。地元でも、長尾鼻灯台に実際に行ったことのある人は少数です。私自身も含め、クラスメイトでも青谷学の授業で初めて灯台に登ったという人が多くいました。

こうした経験を踏まえて、地域にはこれまで気付かなかった魅力がたくさんあることを知りました。私は将来、地域の魅力を伝え、地域の役に立つような仕事に就きたいと考えています。本日はありがとうございました。