海洋学習イベント「かもめ島研究員になろう!」開催【北海道江差町 鴎島灯台】

2021/10/27

北海道文化発祥の地といわれる江差町で、町のシンボルとして愛される “かもめ島”。海の道しるべである鴎島灯台が建つこの憩いの観光地では「かもめ島マリンピング~海と日本PROJECT~」と銘打つ持続型プログラムを実施しており、その一環として10月9日(土)には海洋学習イベント「かもめ島研究員になろう!」が開催されました。

実証実験をかねた今回のイベントの参加人数は総勢9名。小学生4名・中学生2名とその保護者3名が、かもめ島の自然観察を通じて生き物に触れ、海と自然環境の関わりについて学びました。

1時限目は「先生と一緒にガイドウォークで自然学習」です。いざ、鴎島灯台に見送られながら出発!子どもたちは海上を飛ぶ鴎を双眼鏡で眺めたり、遊歩道のそこかしこに咲く仙人草を観察したりしながら、講師の先生方による動植物の生態解説や名前の由来などに耳を傾けます。そして2時間目は「自由観察タイム」。この後の授業で行うマップ作りで使用する資料集めのため、自由に島内を探索していきます。

そして3時限目は「網回収体験・観察タイム」。海上遊歩道に仕掛けられた「つぶかご漁」で使用する仕掛け網を引き揚げたり、いけすのウニやヒトデ、サメに触れたりする疑似漁業体験です。

「かもめ島は本土から直接つながっている数少ない島のうちの1つであり、海に囲まれた島ならではの多種多様な動植物を観察することができます。この時間は海の生物に実際に触れるという体験を行ってもらいましたが、例えばヒトデを表からは見たことはあっても、裏返しはなかなか見ることはできません。『裏面の触手のような管を使って移動するんだよ』という説明を聞いて衝撃を受けた子もいましたね」(江差観光コンベンション協会「かもめ島マリンピング運営事務局」の宮崎拓馬さん)

4時限目は「マップ作り・ディスカッション」です。探検で発見した動植物の名前と観察地点を記した「観察シート」を基に、1人ずつ地図上にシールを貼っていきます。

「マップに貼られたシールは、外海側ではなく内海側に偏ります。海風にさらされている場所は植物が育ちにくく、そのような環境には生物もあまりいません。最終的に子どもたちが自らそのような答えを導き出せるように講師や大人たちがヒントを出しながら、島の生物分布の特徴やかもめ島が海風や波から守ってくれていることなどについて考えてもらいました」(同)

この時間では野鳥の生息場所や海浜植物、そして海洋汚染などについての講義も加わり、さらに海への理解も深まりました。

「江差の近隣には海のない町村もあり、海に馴染みがない子どもたちにも“かもめ島”という最高のロケーションで自然に触れて欲しいと思っています。このイベントでは海に関わる学びの機会も豊富に盛り込まれていますので、ゆくゆくは短縮版を海洋体験のできる学習プログラムとして提供できればと考えています」(同)

探検の際には携帯電話のカメラ機能で写真も収集。今後はそのGPSデータもとに作成した分布地図を一般公開する予定だそう。そしてシーズンごとにデータを蓄積していき、将来的には学習や研究のツールとなるようなデータベースの構築も検討しているのだとか。

参加者たちはカリキュラム最後となる「給食タイム」でBBQを堪能。そして江差町が発行するシリアル番号入りの「かもめ島研究員証」をもらって晴れて研究員の一員となりました。その日の夜はイベントのお土産でもらったお魚をサカナに、ちびっ子研究員たちの豊富な知識と体験談が食卓を賑わわせたかもしれませんね。

気分は灯台守!手ぶらで楽しむ「かもめ島マリンピング」【北海道江差町 鴎島灯台】

取材:足立美由紀