北海道 積丹郡積丹町 神威岬灯台
アイヌ語で「神」を意味する“カムイ”の名を冠する灯台。灯台へ続く遊歩道「チャレンカの小道」は起伏に富み、300度で見渡せる丸い水平線や神秘的な「積丹ブルー」の海など、まさに神の領域のような絶景の中に建つ。
灯台データ
- 初点灯: 1888(明治21)年
- 灯台の高さ: 12m
- 灯りの高さ: 82m
- 形状: 白地に黒横帯1本塔形
- 灯質: 単閃白光
- 光達距離: 約43km
- レンズ・灯器: LB-90型
- 構造: コンクリート造
- 設計者: 不明
地理データ
地理:北海道唯一の海域公園
火山活動の隆起によってできた積丹半島は、長い年月をかけ侵食されたため海抜80mの断崖絶壁や奇岩「神威岩」など複雑な地形を有し、北海道で唯一の海域公園「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定されている。
気象:季節風が招く風と波
対馬海流の影響で夏、冬ともにしのぎやすいが、季節風を正面から受けるため雨や雪は多く、風・波も厳しい。
歴史:海難事故を防ぐため「女人禁制」に
源義経を慕い海に身を投げたアイヌの乙女の悲劇「チャレンカ伝説」が伝わるこの地。岬沖は暗礁が多く海難事故が多発したため、女性が海神の怒りを招くとして江戸時代前期から1855年の解禁まで神威岬は「女人禁制」に。
信仰:天狗と神輿が火渡りする「美国の火祭り」
海の安全と豊漁を祈願する美国神社の例大祭。漁船や神輿の“海上渡御”や、神社に戻る際に猿田彦(天狗さん)が火で身体を清める “天狗の火渡り”の神事が有名。
漁業:評価の高い積丹のウニ
明治から昭和初期にかけてニシン漁の大漁場として栄えた積丹町は、現在もサケやタラの好漁場となっているほか、とりわけウニは全国的なブランドとして評価が高い。
その他:積丹の地酒「丹水」
ニセコ産の酒米“吟風”と積丹岳や余別岳などの伏流水で造られた地酒「丹水」。辛口の純米酒と甘口の純情酒の2種類あり、積丹町内のみで限定販売されている。
食文化:
6月~8月に漁が解禁されるウニを使ったウニ丼が有名。また北海道の郷土料理として愛される三平汁はニシンやタラの塩漬け・麹漬けを根菜類と煮込んだ冬の名物。
伝統芸能:ソーラン節の故郷
ニシン漁の全盛期時代に、網をくみ上げる際の拍子とりで歌われたという「正調鰊場音頭」。四編から成り、そのうちの一編のソーラン節が各地に伝搬したとされる。

「海と灯台のまち」の灯台をもっと見る

下北郡東通村
尻屋埼灯台
東北初の洋式灯台。古くから難破船の多い岬として恐れられていた尻屋崎。明治に入り世界各国との貿易を進めるにあたり船舶安全のために建てられた。レンガ造灯台としては高さ日本一を誇る。2022年12月、国の重要文化財に指定。

賀茂郡南伊豆町
石廊埼灯台
江戸時代には燈明堂が置かれ、毎晩かがり火が焚かれていたという海の難所、伊豆半島最南端の岬に立つ灯台。1871(明治4)年に英国人技師ブラントンによって木造灯台として建てられ、1933(昭和8)年にコンクリート造に建て替えられた。「日本の灯台50選」のひとつ。

網走市
能取岬灯台
大正時代、逓信省による航路標識事業で建てられた灯台。霧信号所も設置され、1948(昭和23)年までは灯台守が併設の宿舎に住んでいた。流氷により航行が途絶える2~3月は業務を休止していた。

石垣市
平久保埼灯台
八重山列島の石垣島北部にのびる平久保半島の北端、平久保先に位置。17世紀に平久保遠見台が置かれ、往来する外国船の監視が行われていた歴史を持つ。現在建つのは日本復帰前に琉球政府が建設したもの。

佐伯市
鶴御埼灯台
九州最東端、鶴御崎の標高150mに位置する灯台。鶴御崎は軍事上の要衝であった歴史を有し、鶴御埼砲台跡地に建てられた灯台は豊後水道を行き交う船舶の安全を見守っている。灯台から少し歩いた先の展望台は紺碧の海が広がる絶景スポット。

出雲市
出雲日御碕灯台
島根県出雲市にある「島根半島」の西端に建つ灯台で、石造の灯台としては43.65mと日本一の高さを誇る。全国に5基しかない第1等フレネルレンズが現役で稼働している灯台で、その文化的価値も高く評価されている。

いわき市
塩屋埼灯台
白砂青松の美しい海岸線が続く「いわき七浜」の中央付近、薄磯海岸の断崖に立つ灯台。のぼれる灯台16基のひとつ。1956(昭和31)年に雑誌に掲載された、当時の塩屋埼灯台長の妻、田中きよの手記が、翌年公開された映画『喜びも悲しみも幾年月』の原点となったことでも知られる。

淡路市
江埼灯台
1867(慶応3)年、江戸幕府と英国公使が兵庫開港に備えて大坂条約締結の際に5つの灯台の建設を約束。その最初に建てられた。「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計による御影石を使用した石造りの洋式灯台。

相馬市
鵜ノ尾埼灯台
福島県相馬市、鵜ノ尾岬の断崖にそびえる灯台。紺碧の海と松の緑に白い塔体が映える。太平洋と、砂州で外海と切り離されてできた湖「松川浦」にはさまれる陸地に位置し、前後が水面に臨む珍しい景観となっている。

室戸市
室戸岬灯台
室戸岬の先端、標高151mの山上にそびえ、日本一の光達距離を有する灯台。1899(明治32)年の建造当時から改築されていない鉄造の灯台で、直径2.6mにも及ぶ国内最大級の第1等レンズを誇る。灯台守が暮らしていた石造りの官舎が今なお残る。

珠洲市
禄剛埼灯台
明治期、能登半島の最突端、珠洲市の禄剛崎に建てられた石造の灯台。レンズを固定させ、遮蔽板を回転させることで灯火を点滅させる珍しい手法を用いた。石材を人力で崖下から運ぶ難工事の末に完成。

小樽市
日和山灯台
北海道で2番目に建設された歴史ある灯台。船乗りたちが出港前に天候や空模様(=日和)を観察した「日和山」に立ち、石狩湾を一望できる。建設当時は白色の木造灯台で、1953(昭和28)年にコンクリート造に改築された。1968(昭和43)年から現在の紅白ストライプに。