岩手県 下閉伊郡普代村 陸中黒埼灯台
1947(昭和22年)に地元漁協が「普代灯柱」として設置。三陸復興国立公園の海岸段丘の景勝地に建ち、青い海と山の緑にひときわ映える白亜の灯台。北緯40度線上の灯台として、日本海側の入道埼灯台(秋田県雄鹿半島)と対をなす。
灯台データ
- 初点灯: 1952(昭和27)年 ※海上保安庁管理の灯台として
- 灯台の高さ: 11.95m
- 灯りの高さ: 142.85m
- 形状: 白色・塔形
- 灯質: 単閃白光
- 光達距離: 約39km
- レンズ・灯器: LB-H40型
- 構造: コンクリート造
- 設計者: 不明
地理データ
地理:海上交通の要所「黒崎」
下閉伊郡沿岸はは高さ150~200mの断崖が海に垂直に落ち込む。陸中黒埼灯台が船舶の安全を見守る周辺には、かつて黒崎砲台場があり、外国船からの警備強化のために大砲が設置されていた。
気象:新緑に映える「はまなすの花」
5~6月にかけて黒崎一帯では朱色の花びらが新緑に鮮やかなに映えるはまなすの花が見ごろに。平均気温は1月がマイナス1.1度、8月は21.4度。夏は涼しく過ごせる日本では珍しい西岸海洋性気候の地域。
歴史:普代村を守った「普代水門」
明治、昭和と2度の大津波で犠牲者を出してきた普代村。その教訓を生かし1984年に設置されたのが東北一の高さを誇る「普代水門」。普代村の津波被害を最小限に食い止め「奇跡の水門」と呼ばれている。
伝説:「義経北行伝説」始まりの地
平泉を脱出した義経が77日77夜にわたり海上安全、武運長久、請願成就を祈ると神のお告げが。その感謝の印に「卯子酉大明神」を祀ったという鵜鳥神社。本殿は標高424.2mの卯子酉山頂に設けられている。
漁業:三陸漁場の「心臓部」
太平洋に面する黒崎沖は豊饒な漁場として知られる。村には66つの漁港があり水揚げの中心港は太田名部漁港。漁港が一番活気づくのは10月から始まる秋鮭定置網。寒流系、暖流系両方の魚が豊富に水揚げされる。
農業:国内有数の「マツタケ」の産地
北上高地を中心とする三陸沿岸は、味もよく市場での評価も高いマツタケの産地。野山でマツタケ狩りが忙しくなる旬は9~10月。また、村では春と秋の収穫時に天日干しされる干しシイタケの生産も盛んだ。
特産品:新鮮な魚介たっぷり「磯ラーメン」
村で開発された名物料理はカニ、エビ、ホタテ、イカ、海藻など新鮮な魚介がたっぷり入った塩味ベースの磯ラーメン。麺の上うえに大量にのった太平洋の海の幸は、漁港の賑わいを舌から想起させる。
伝統芸能:重要無形民族文化財「鵜鳥神楽」
普代村鳥居の「鵜鳥神社」に古くから伝わる「山伏神楽」の一種。能楽の原形を継承する神楽として、全国でも貴重な伝統芸能。三拍子という荒々しく速いリズムにのり、勇壮かつダイナミックに舞われる。

「海と灯台のまち」の灯台をもっと見る

高岡市
岩崎ノ鼻灯台
高岡市内唯一の灯台。海の玄関・伏木港が重要港湾に指定された同年に初点灯。以来、富山湾を往来する船舶の安全を見守り続けてきた。春には建設時に植栽された桜が美しい花を咲かせるため、「桜の灯台」と呼ばれる。


三浦市
安房埼灯台
一般公募により決定した三浦大根をモチーフとするデザイン灯台。建て直しに伴い、岩礁地帯から200m内側に入った城ヶ島公園内へと移設された。灯台の南東方約400mにある「高根神楽」を照らす照射灯も併設されている。(写真提供/三浦市)

佐伯市
水ノ子島灯台
豊後水道の中央部に浮かぶ周囲約300mの無人島「水ノ子島」にぽつんとそびえる灯台。塔体の高さは39mあり、石造り灯台の高さとしては日本で二番目を誇る。極めて小さな孤島であることから建設工事が難航し、1900(明治33)年から4年の歳月を要して完成にこぎつけた。

丹生郡越前町
越前岬灯台
海抜131mの断崖の上に建つ白亜の灯台。岬からの絶景は「日本の夕陽百選」にも選ばれている。越前海岸周辺は日本海側随一の「日本三大水仙群生地」として知られ、冬になると灯台は一面に咲く越前水仙に彩られる。

敦賀市
立石岬灯台
西洋技術の導入初期である明治時代に建設された歴史的灯台。現存する64基のうちの1基。敦賀港最初の文明施設となるこの灯台は、港湾都市・敦賀の将来の発展を象徴するモチーフとして市章にも使用されている。

熊毛郡屋久島町
屋久島灯台
世界自然遺産に登録されている屋久島の北西端・永田岬に立つ、レンガ造りの灯台。明治期に台湾航路整備のために建てられた灯台のひとつ。半円形の付属舎や円形の灯塔が明治期の風格を感じさせる。向かいの口永良部島との間に広がる屋久島海峡を航行する多くの船の目印となっている。

小樽市
日和山灯台
北海道で2番目に建設された歴史ある灯台。船乗りたちが出港前に天候や空模様(=日和)を観察した「日和山」に立ち、石狩湾を一望できる。建設当時は白色の木造灯台で、1953(昭和28)年にコンクリート造に改築された。1968(昭和43)年から現在の紅白ストライプに。

美方郡香美町
余部埼灯台
灯りの高さが日本一の灯台。「日本の夕陽百選」にも選ばれた日本海を一望できる高台からは、夏場になると幻想的で美しいイカ釣り漁船の漁火を見ることができる。地元では地名をとった「御崎灯台」の名で親しまれる。

西津軽郡深浦町
艫作埼灯台
白神山地を仰ぐ青森県深浦町の海岸線に建つ灯台。日本海北部の灯台では最大級の高さを誇る。青森県北部の龍飛岬と秋田県男鹿半島の入道崎の中間に位置し、漁船や南北を航行する船を広範囲に見守る。

檜山郡江差町
鴎島灯台
かつてニシン漁や北前船の交易場として賑わいを見せた鴎島に建つ灯台。沖合500mに浮かぶこの島の航路標識である灯台は、現在は外側に階段と手すりが取り付けられ、自由に登れる展望台として訪問客を楽しませている。

松山市
釣島灯台
愛媛県松山市の西方約5kmに位置する釣島に建つ、明治期に建設された石造の歴史的灯台。愛媛県初の西洋式灯台であり、敷地内に付帯する灯台職員用の宿舎・倉庫と共に保守され、当時の面影を今に遺す。松山市有形文化財に指定。