長崎県 長崎市 伊王島灯台
1866(慶応2)年、米・英・仏・蘭の4ヶ国と結ばれた江戸条約により、全国8ヶ所に設置された灯台の一つ。日本初の鉄造六角形の洋式灯台でもある。灯台のドーム型の天井部分は、原爆の被害を受けつつも、そのままの形状に復元された。
灯台データ
- 初点灯: 1871(明治4)年
- 灯台の高さ: 11.5m
- 灯りの高さ: 64.4m
- 形状: 白色・塔形
- 灯質: 群閃白光
- 光達距離: 約38km
- レンズ・灯器: LB-M60型灯器
- 構造: 鉄筋コンクリート造
- 設計者: 不明
地理データ
地理:長崎港の入口、伊王島
伊王島は長崎港の沖合10kmに浮かぶ離島。2011年に伊王島大橋が開通し、対岸の香焼町と陸続きとなり車での気軽なアクセスが可能に。伊王島灯台、馬込教会、伊王島海水浴場などがあり、リゾートアイランドとして人気のスポット。
気候
リゾート地でもある島は年間を通して穏やかな気候で、冬でも比較的暖かく快適に過ごせ、島内サイクリングや夏の海水浴は特に人気が高い。また温暖な気候から磯釣りや船釣りも1年中楽しめ、釣りファンからも人気。
歴史:炭鉱の島からリゾート地へ
かつては炭鉱の島として栄えた伊王島は、閉山後に農漁業に注力。伊王島大橋の開通により、近年は観光業も推進されている。島民の半数以上がカトリック信者で、島内には守り続けた信仰の証が多数残されている。
伝説:伊王島の「伊王」の由来
古くは祝島(いはふじま)、硫黄島(おわうじま)とも呼ばれた伊王島。現在の「伊王」の名は、「祝ふ」や「硫黄」の当て字ではなく、昔の中国の海神、または漁夫の神様の名前が由来であるという説も残されている。
漁業:島名には魚が豊富な島の意味も
古くは魚を「いを」と言っていたことから、豊富な漁場に浮かぶこの島を「いをしま」と読んでいたという説もあるほど、漁業の町として知られている。長崎県は北海道に次いで漁獲高は全国2位。魚種250種という多種の魚が揚がる。
農業:オリーブ栽培が盛んな島
炭鉱閉鎖後は、農漁業兼業中心となった農業も盛んな島。近年では、新たな特産品としてオリーブの栽培を開始。島にはオリーブの木もたくさんあり、港近くにはオリーブ公園も。オリーブを使ったオイルやコスメはお土産としても人気。
食文化:鯨は地元の大切な食文化
海や山に囲まれ、外国からの文化が入ることで、ちゃんぽん、皿うどん、卓袱料理、カステラなどは食文化の融合から生まれた独特の名物が多い。小学や祝い事の際に食卓に上がる鯨は、長崎の人々にとっても大切な食文化。
芸能:昭和の名優も訪れた島
ピンクのツツジが咲き誇る季節、青い海と白亜の伊王島灯台が映える美しさ風景は、映画のロケ地としても人気。高倉健最後の主演映画『あなたへ』にも登場し、名作のロケ地を巡る「聖地巡礼スポット」としても脚光を浴びている。

「海と灯台のまち」の灯台をもっと見る

下田市
爪木埼灯台
伊豆半島の東海岸から太平洋に突き出た須崎半島の先端に建つ灯台。周辺は爪木崎自然公園として整備されている。野水仙の群生地であり、冬場のピーク時には300万本もの水仙が咲き誇り、遊歩道となって灯台へと誘う。

日向市
細島灯台
細島港入口の日向岬に位置する灯台。1910(明治43)年に赤レンガ造りの灯台として造られ、1941(昭和16)年に現在の灯台に。半円アーチ型の出入り口、バルコニーを支える持ち送りのデザインが特徴的。2019(平成31)年に国の有形文化財に登録された。

積丹郡積丹町
神威岬灯台
アイヌ語で「神」を意味する“カムイ”の名を冠する灯台。灯台へ続く遊歩道「チャレンカの小道」は起伏に富み、300度で見渡せる丸い水平線や神秘的な「積丹ブルー」の海など、まさに神の領域のような絶景の中に建つ。

知多郡美浜町
野間埼灯台
愛知県に現存する最古の灯台。2008年に改修工事が行われた際、レンズが第5フレネル式からLED灯器に変更された。灯台周辺を囲う高さ2.5mの鉄柵は、南京錠を掛けて恋愛の成就を願うカップル向けのスポットとしても広く認知されている。

小樽市
日和山灯台
北海道で2番目に建設された歴史ある灯台。船乗りたちが出港前に天候や空模様(=日和)を観察した「日和山」に立ち、石狩湾を一望できる。建設当時は白色の木造灯台で、1953(昭和28)年にコンクリート造に改築された。1968(昭和43)年から現在の紅白ストライプに。

下関市
角島灯台
日本海側に造られた灯台としては初の大型灯台。無塗装の灯台は日本に2基あるが、そのうちの1つ。レンズは日本に5基しかない第1等フレネルレンズで、高い歴史・文化的価値を認められており、常時一般公開されている「参観灯台」でもある。

利尻郡利尻富士町
鴛泊灯台
利尻島の北端・ペシ岬の中腹に建つ灯台。晴れた日には隣の礼文島のほか、サハリン島を見ることもできる。島内には利尻山やオタドマリ沼といった景勝地が点在し、利尻礼文サロベツ国立公園の一部として指定されている。

淡路市
江埼灯台
1867(慶応3)年、江戸幕府と英国公使が兵庫開港に備えて大坂条約締結の際に5つの灯台の建設を約束。その最初に建てられた。「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計による御影石を使用した石造りの洋式灯台。

西津軽郡深浦町
艫作埼灯台
白神山地を仰ぐ青森県深浦町の海岸線に建つ灯台。日本海北部の灯台では最大級の高さを誇る。青森県北部の龍飛岬と秋田県男鹿半島の入道崎の中間に位置し、漁船や南北を航行する船を広範囲に見守る。


いわき市
塩屋埼灯台
白砂青松の美しい海岸線が続く「いわき七浜」の中央付近、薄磯海岸の断崖に立つ灯台。のぼれる灯台16基のひとつ。1956(昭和31)年に雑誌に掲載された、当時の塩屋埼灯台長の妻、田中きよの手記が、翌年公開された映画『喜びも悲しみも幾年月』の原点となったことでも知られる。

佐伯市
水ノ子島灯台
豊後水道の中央部に浮かぶ周囲約300mの無人島「水ノ子島」にぽつんとそびえる灯台。塔体の高さは39mあり、石造り灯台の高さとしては日本で二番目を誇る。極めて小さな孤島であることから建設工事が難航し、1900(明治33)年から4年の歳月を要して完成にこぎつけた。