石川県 珠洲市 禄剛埼灯台
明治期、能登半島の最突端、珠洲市の禄剛崎に建てられた石造の灯台。レンズを固定させ、遮蔽板を回転させることで灯火を点滅させる珍しい手法を用いた。石材を人力で崖下から運ぶ難工事の末に完成。
灯台データ
- 初点灯: 1883年(明治16)年
- 灯台の高さ: 12m
- 灯りの高さ: 48m
- 形状: 白色塔形(円形)
- 灯質: 等明暗白光 明3秒暗3秒
- 光達距離: 約33km
- レンズ: 第2等不動フレネル式
- 構造: 石造
- 設計者: ブラントン
地理データ
地理:朝日と夕日を望める禄剛崎
灯台の建つ禄剛崎は東、北、西の三方に海が開け、海から昇る朝日、海へ沈む夕日が同じ場所から望める岬。灯台は高台に建ち広範囲に灯火が送れる。晴れた日には遠く佐渡島や立山連峰も目視できる。
気象:金沢より北でも暖かなまち
石川県最北端の珠洲市は、日本海に接し暖流の影響を受けることから、緯度の割に温暖な気候。冬季は雪や雨が多めで日昭が少なめで、降水量も梅雨の時季よりも多くなる。
歴史:北前船の要衝
周辺の海は江戸時代より明治にかけて流通を担った北前船が往来。海難事故が多く、1756(宝永6)年に焚き火常夜灯の設置の要望が出され、山吹山の一角に灯明台が築かれた。
伝説:平安時代の防衛拠点
江戸時代に灯明台が築かれ狼煙を上げていたことが町名の由来。また平安時代、山伏山では外敵の動きを見張る拠点として、かがり火が灯され都へ合図が送られていたと伝えられる。
漁業:好漁場といわれる理由
沖合には暖かな対馬海流と冷たいリマン海流が流れブリやアジなど回遊魚が豊富。水深の深い地点はズワイガニ、アカガレイなども生息し、それらを狙う底引網漁も有名。
その他:海中から甦った「珠洲焼」
珠洲では鎌倉時代~戦国時代前半、陶器が生産され、海運により全国へ流通していた。約400年前に忽然と途絶えていたが、海中よりかつての陶器が発掘され、市の推進で現代に復興した。
食文化:海と大地の恵みを受けた塩と大豆
日本唯一の揚浜式塩田「奥能登塩田村」が残る珠洲では、古来の製法による塩が特産品。また狼煙では「幻の大豆」と呼ばれ、甘みとコクが強い大浜大豆が生産され、豆腐が絶品。
祭事:須須神社とキリコ祭り
海に鳥居が面する須須神社は、日本海側一帯の守護神とされ古式縁ある地元の守り神。神社に祀られる巨大な燈籠「キリコ」が町内を練り歩く「キリコ祭り」は珠洲の夏の風物詩。
海と灯台のまち紹介その他の海と灯台のまち紹介
長崎市
伊王島灯台
1866(慶応2)年、米・英・仏・蘭の4ヶ国と結ばれた江戸条約により、全国8ヶ所に設置された灯台の一つ。日本初の鉄造六角形の洋式灯台でもある。灯台のドーム型の天井部分は、原爆の被害を受けつつも、そのままの形状に復元された。
笠岡市
六島灯台
岡山県の最南端とされる「六島(むしま)」に建つ灯台。大型船舶が往来する海域ながら、潮流が速く事故が多発していた六島と香川県・荘内半島の海域の安全のために建てられた。現在も不動フレネル式レンズを残す貴重な灯台でもある。
石垣市
平久保埼灯台
八重山列島の石垣島北部にのびる平久保半島の北端、平久保先に位置。17世紀に平久保遠見台が置かれ、往来する外国船の監視が行われていた歴史を持つ。現在建つのは日本復帰前に琉球政府が建設したもの。
大船渡市
碁石埼灯台
末崎半島の先端となる碁石岬に建つ灯台。沿岸小型標識として、入り組んだ沿岸や大船渡湾などを航行する船舶の目標として設置された。三陸復興国立公園に指定された碁石海岸の一角として、灯台周辺は整備されている。
中頭郡読谷村
残波岬灯台
沖縄本島、東シナ海に面する残波岬の突端に建つ。終戦後、米軍の実弾練習場だった場所に建てられた白亜の灯台で、日本返還後に初点灯。灯台周辺は現在、沖縄海岸国定公園に指定され、沖縄本島有数のスポットとなっている。
日向市
細島灯台
細島港入口の日向岬に位置する灯台。1910(明治43)年に赤レンガ造りの灯台として造られ、1941(昭和16)年に現在の灯台に。半円アーチ型の出入り口、バルコニーを支える持ち送りのデザインが特徴的。2019(平成31)年に国の有形文化財に登録された。
高松市
高松港玉藻防波堤灯台
1964(昭和39)年に「高松港西防波堤灯台」として初点灯。後年、港湾事業によって北側へと伸びた防波堤の先端へ移設される。赤基調の灯台で、「赤灯台」「せとしるべ」の愛称で高松港のランドマークとしても親しまれる。
美方郡香美町
余部埼灯台
灯りの高さが日本一の灯台。「日本の夕陽百選」にも選ばれた日本海を一望できる高台からは、夏場になると幻想的で美しいイカ釣り漁船の漁火を見ることができる。地元では地名をとった「御崎灯台」の名で親しまれる。
檜山郡江差町
鴎島灯台
かつてニシン漁や北前船の交易場として賑わいを見せた鴎島に建つ灯台。沖合500mに浮かぶこの島の航路標識である灯台は、現在は外側に階段と手すりが取り付けられ、自由に登れる展望台として訪問客を楽しませている。
指宿市
薩摩長崎鼻灯台
開聞岳の東側、長崎鼻の突端に1957(昭和32)年に建てられた比較的新しい灯台。風光明媚な観光地にふさわしいフォルムにと特別に設計されたデザインで、錦江湾に出入りする、または東シナ海を航行する船舶の道標としての役割を担う。