熊本県 上天草市 湯島灯台
江戸時代、島原の乱の戦略上の要衝となった湯島の西端に建つレトロな灯台。島の高台から島原湾、湯島瀬戸を往来する船を照らす。灯台周辺から眺望する長崎、普賢岳のパノラマは絶景。晴れた日には世界遺産の原城跡が望める。
灯台データ
- 初点灯: 1916(大正5)年
- 灯台の高さ: 12m
- 灯りの高さ: 39m
- 形状: 白塔形
- 灯質: 単せん白光
- 光達距離: 不明
- レンズ・灯器: 高光度LED灯器(建設時は第五等不動フレネルレンズ)
- 構造: コンクリート造
- 設計者: 不明
地理データ
地理:有明海に浮かぶネコの島
灯台の建つ湯島は有明海にぽっかりと浮かぶ全周約4kmの小さな島。320人ほどの人口に対して約200匹のネコが住むと言われ、別名「猫島」とも呼ばれる。穏やかな海を眺めながら海岸線を歩けば、フォトジェニックな場所が次々に現れる。
気象:熱帯性のアコウ樹が育つ環境
島は1年を通して気候が穏やかで、温かな海風が心地よい。島内には熱帯性のアコウ樹の群生も見られ、なかにはハート形のアコウ樹が育ち、「ハートの木」と呼ばれ訪れる人々に人気の場所となっている
歴史:歴史好きの興味を引く「湯島」
天草を語る上で、16年という短い人生を懸命に生きた天草四郎という存在は欠かせない。その天草四郎が「島原の乱」の作戦を練り、武器を作らせた場所として知られている、歴史が眠る島。
伝承:談合島とも呼ばれた島名
島は海から望むと伏せた椀のような台形で、弓を横にした形を連想させ「弓島」と呼ばれた。それが時を経て「湯島」に変遷したと伝えられている。島原の乱の作戦が練られた地だった歴史から「談合島」とも称された。
漁業:盛んな養殖業
温暖な気候から島周辺の海では養殖が盛ん。クルマエビ、真珠などの特産品に加えて、近年は近大マグロや岩ガキ、トラフグなどの養殖にも取り組んでいる。小アジやイカも豊富に獲れ、春と秋に美味しい湯島マダイも有名。
農業:甘くて濃厚な「湯島芋」
温暖な湯島で収穫される農産物の湯島芋。畑に吹く海風の影響もあって甘く濃厚なイモを材料に芋焼酎も造られている。また島ではデコポン、黒牛、苓北レタス、緑竹などの高品質化、ブランド化も推進している。
特産物:食べやすい海藻「あかもく」
島周辺の海で獲れるヒジキなどの仲間「あかもく」は、ワカメやコンブが育ちにくい地域で食されている貴重な海藻。茹でて刻むと粘りが出て、つるつるとした食感と癖のない味でとても食べやすい。
伝統:大正時代から続く「フカ狩り」
湯島沖では例年、タイ釣りシーズン前に伝統行事「フカ(サメ)狩り」が行われる。タイやイサキなどをシュモクザメがから食い荒らすされるのを防ぐために行われているが、この行事を見守るツアーも実施されている。

「海と灯台のまち」の灯台をもっと見る
笠岡市
六島灯台
岡山県の最南端とされる「六島(むしま)」に建つ灯台。大型船舶が往来する海域ながら、潮流が速く事故が多発していた六島と香川県・荘内半島の海域の安全のために建てられた。現在も不動フレネル式レンズを残す貴重な灯台でもある。
相馬市
鵜ノ尾埼灯台
福島県相馬市、鵜ノ尾岬の断崖にそびえる灯台。紺碧の海と松の緑に白い塔体が映える。太平洋と、砂州で外海と切り離されてできた湖「松川浦」にはさまれる陸地に位置し、前後が水面に臨む珍しい景観となっている。
高松市
高松港玉藻防波堤灯台
1964(昭和39)年に「高松港西防波堤灯台」として初点灯。後年、港湾事業によって北側へと伸びた防波堤の先端へ移設される。赤基調の灯台で、「赤灯台」「せとしるべ」の愛称で高松港のランドマークとしても親しまれる。
丹生郡越前町
越前岬灯台
海抜131mの断崖の上に建つ白亜の灯台。岬からの絶景は「日本の夕陽百選」にも選ばれている。越前海岸周辺は日本海側随一の「日本三大水仙群生地」として知られ、冬になると灯台は一面に咲く越前水仙に彩られる。
三浦市
城ヶ島灯台
日本で5番目に点灯した洋式灯台。初代はフランス人技師・ヴェルニーにより設計されたが、関東大地震で倒壊し、現在の姿に再建された。同じ島内の東側に建つ安房埼灯台とは、“ペア灯台”として知られている。
稚内市
稚内灯台
雪でも視認しやすいよう塗装された紅白のストライプ柄が特徴。建造当時は南側に約900m離れた丘の上にあり、1966(昭和41)年に現在地に建て替えられた際、海面から灯火までの高さが移設前と同じになるよう建てられたため、北海道で最も背の高い灯台となった(塔高42.7m)。「日本の灯台50選」のひとつ。
日向市
細島灯台
細島港入口の日向岬に位置する灯台。1910(明治43)年に赤レンガ造りの灯台として造られ、1941(昭和16)年に現在の灯台に。半円アーチ型の出入り口、バルコニーを支える持ち送りのデザインが特徴的。2019(平成31)年に国の有形文化財に登録された。
いわき市
塩屋埼灯台
白砂青松の美しい海岸線が続く「いわき七浜」の中央付近、薄磯海岸の断崖に立つ灯台。のぼれる灯台16基のひとつ。1956(昭和31)年に雑誌に掲載された、当時の塩屋埼灯台長の妻、田中きよの手記が、翌年公開された映画『喜びも悲しみも幾年月』の原点となったことでも知られる。
中頭郡読谷村
残波岬灯台
沖縄本島、東シナ海に面する残波岬の突端に建つ。終戦後、米軍の実弾練習場だった場所に建てられた白亜の灯台で、日本返還後に初点灯。灯台周辺は現在、沖縄海岸国定公園に指定され、沖縄本島有数のスポットとなっている。
西宇和郡伊方町
佐田岬灯台
四国の西端に突き出た佐田岬半島の先端に建つ。対岸には豊予海峡を挟んだ佐賀関(大分県)があり、佐田岬灯台の光が届く。灯台で使われているレンズは佐賀関にある関崎灯台から移設されたもの。
高岡市
岩崎ノ鼻灯台
高岡市内唯一の灯台。海の玄関・伏木港が重要港湾に指定された同年に初点灯。以来、富山湾を往来する船舶の安全を見守り続けてきた。春には建設時に植栽された桜が美しい花を咲かせるため、「桜の灯台」と呼ばれる。





